36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
中国のAIユニコーン「智譜(Zhipu」(全称:北京智譜華章科技)が、A株市場(中国本土の株式市場)への上場に向けた事前指導の申請を、北京市の監督管理局に提出したことが明らかになった。中国証券監督管理委員会(CSRC)の公式サイトにより確認されたもので、主幹事証券会社は中国国際金融(CICC)が務める。中国では生成AIを手がけるユニコーン企業が次々と登場しているが、IPO計画を公表したのは智譜が初めてとなる。
智譜は2019年に中国の名門・清華大学の知識工程研究室(KEG)から誕生したスタートアップで、中国でも最も早期から大規模言語モデル(LLM)の開発に取り組んできた。これまでに18回の資金調達を実施し、24年7月時点での評価額は200億元(約4000億円)に達し、中国のAIスタートアップの中でトップクラスに位置付けられている。出資者には高瓴資本(Hillhouse Capital)や啓明創投(Qiming Venture Partners)、君聯資本(Legend Capital)いった有力ベンチャーキャピタル(VC)のほか、美団やアリババグループ、テンセントといったIT大手、さらには地方政府系ファンドなども名を連ねている。
同社はこれまでにAIアシスタント「智譜清言」、AIコーディングアシスタント「CodeGeeX」、視覚言語モデル「CogVLM」、画像生成モデル「CogView」などをリリースしている。今年3月には独自開発のAIエージェント「AutoGLM沉思」を発表、強化学習を通じて自己評価や再考が可能になり、思考により長い時間をかけることでさらに優れた成果が得られるという。答えの自由度が高い複雑な問題に対しては、リアルタイムのネット検索やツールの活用、高度な分析、自己検証を組み合わせることで、長期的な推論とタスク実行が可能になった。
さらに、32Bおよび9BのGLMモデルのオープンソース化も発表された。これには基盤モデル「GLM-4」、推論モデル「GLM-Z1」、熟考モデル「GLM-Z1-Rumination」などが含まれており、いずれもMITライセンスに基づいて公開される。同社によれば、推論モデル「GLM-Z1-32B-0414」はパラメーター数320億ながら、一部のベンチマークテストではパラメーター規模の大きい米OpenAIの「GPT-4o」シリーズや中国DeepSeekの「V3」などに匹敵する性能を示している。(編集部注:MITライセンスとは、ソフトウエアを無料で自由に使用できるオープンソースライセンスのこと)
同時に新たなドメイン「z.ai」の使用も開始し、次世代のAIプラットフォームとなることを目指して世界のユーザーに無料で公開した。
とはいえ、智譜の業績に不安材料がないわけではない。経済メディア「財経(Caijing)」が関係者の話として報じたところによると、2024年は売上高が約2億元(約40億円)に上った一方で、損失額が約20億元(約400億円)に膨らんだという。さらに複数の投資家も、智譜を始めとする中国のAIスタートアップが直面している2つのリスクを指摘する。1つは評価額の高さと巨額の損失を同時に抱えていること、もう1つはDeepSeekが一躍注目を集めたことで、ほかのスタートアップに対する出資が冷え込んでいることだ。
AIスタートアップを取り巻くこうした状況を考えると、高評価を維持しているうちに上場を果たすことが、智譜にとっては喫緊の課題となっている。
*1元=約19円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録