中国インフルエンサーの「デジタル分身」、初ライブコマースで爆売れ GMV10億円突破

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中国の連続起業家でテック系インフルエンサーの羅永浩氏のデジタルヒューマン(AIアバター)が6月15日、百度(バイドゥ)のECプラットフォームに登場し、初のライブコマースを実施した。配信は延べ1300万人以上が視聴し、流通取引総額(GMV)は5500万元(約11億円)を突破。デジタルヒューマンによるライブコマースの新記録を樹立した。

羅氏は豊富な知識とユーモアを交えた語り口が魅力のインフルエンサーで、ライブコマースでも大きな強みを発揮している。今回のデジタル分身も、本人の外見や声、仕草をそのまま再現。配信中、椅子の位置を調整したり、軽くテーブルを叩いたり、商品を紹介する際の動作も自然だった。

配信終了後、羅氏は自身のSNSで「デジタル分身の出来栄えに驚いた」とした上で、今回のライブコマースでAIが生成した台本は9万7000字、AIによって制御された動作は8300種類に及んだと明らかにした。

今回のライブコマースは、単なる販売促進にとどまらず、ECに活用されるAI技術の「実践演習」の場にもなった。羅氏にとっては個人IPの拡張や配信効率の検証、バイドゥにとっては淘宝(タオバオ)や抖音(Douyin)などに押され気味のライブコマース市場で実力を示す機会となった。

バイドゥのEC事業部門によると、今回のライブコマースは動画生成AIの限界を超えて6時間以上配信され、2体のデジタルヒューマンによる同時ライブ配信も初めて実現した。羅氏とアシスタント役のAIは、互いに視線を交わしながら自然に掛け合う様子は、リアルな人間のようだった。さらに、視聴者とのリアルタイムな対話も可能で、臨場感のあるやり取りが展開された。

しかし現時点では、多くのECプラットフォームがデジタルヒューマンによるライブ配信を推奨しておらず、レコメンドを抑えるなど慎重な姿勢を維持している。業界関係者によると、プラットフォーム側は依然として、視聴者とリアルタイムで双方向コミュニケーションができる実在の配信者の起用を奨励している。ただし、デジタルヒューマンが「本人そのまま」の精度に近づけば、将来的には登用の可能性が広がっていくだろう。

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*1元=約20円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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