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中国版ツイッターと呼ばれる「微博(Weibo、ウェイボー)」では広告収入の成長が鈍化している。その大きな理由はユーザーの伸び率の減速と新サービスがユーザーの増加に貢献できていないことだ。
中国のモバイルインターネットの発展初期から成長してきたインターネット企業は、ほとんどが膨大な数のモバイルアプリを開発しているが、ウェイボーは例外だ。ウェイボー傘下のアプリ数は極わずかで、影響力が強いのはウェイボーしかないと言ってもよい。
一方、最近では「緑洲(Oasis)」のような人気サービスが新たに誕生しており、今後の発展に繋がるだろうと考えられる。
インキュベーションではなく投資を
過去数年間、ウェイボーは文字数制限を140文字以上にするなど、テキスト関連の調整を中心とし、動画やライブ配信については、自社で開発するのではなく他社に出資する方針を取っていた。
「一下科技(yixia.com)」への出資がその典型例だ。4シリーズ連続で出資をし、一下科技が開発した動画やライブアプリの「秒拍(miaopai)」、「小咖秀(xiaokaxiu)」と「一直播(yizhibo)」はウェイボーとの連動が可能だ。
しかし、ウェイボーと一下科技の連携が崩れつつある。その要因の一つはウェイボーが出資する「今日頭条(TouTiao)」だ。
2014年、ウェイボーは今日頭条の出資者となった。その後、今日頭条は2016年9月にショート動画アプリ「抖音(TikTok)」、2017年4月にSNS「微頭条(weitoutiao)」をローンチし、この2つのアプリは今もウェイボーのトラフィックとコンテンツに頼るところが大きい。
しかし、ウェイボーと今日頭条の摩擦が大きくなったことを受け、ウェイボーは今日頭条のシリーズDの資金調達に参加しなかった。そして、2017年8月に、微頭条が不法にウェイボーのコンテンツの使用し、ユーザー情報を盗んだことにより、ウェイボーは今日頭条との連携を全面的に中止することとなった。
その後、今日頭条の親会社「字節跳動(bytedance)」の成長が加速し、ウェイボーを凌ぐまでになった。それによりショート動画とライブ配信業界の再編が起こり、一下科技の業務に大きな打撃を与えた。同社に何度も売却の噂が持ち上がった末、2018年第4四半期にウェイボーが一下科技の「一直播」業務を買収することになった。
ウェイボーは見込みのあるスタートアップを鋭く捉えていたが、これらの出資は会社の実力の変化により失敗した。
緑洲は「偶然の中の必然」
2017年から2018年は1つの転換点であった。ウェイボーの成長戦略が買収からインキュベーション方式にシフトし始めたからだ。
2017年初頭、ウェイボーは一下科技の情報インターネット配信視聴番組許可証を買収した。これは動画配信事業再編の重要なワンステップだと思われている。
そして2019年、ウェイボーは「喵嗚視頻(miaowu)」と緑洲を開発しローンチした。
緑洲は中国版インスタグラムと言われ、ローンチするとすぐに人気を博した。アップルストアの無料SNSランキングのトップ3にランクし、ダウンロード回数がすでに623.54万回となっている。成長につれ、ウェイボーもより多くの力を緑洲に注ぐようになった。これほど重要視されるサービスはここ数年では珍しい。
緑洲に比べると、他のサービスの存在感は薄い。喵鳴視頻はオリジナル動画コミュニティサイトで、vlogコンテンツがメインになる。ウェイボーとのデータ連動ができるが、Android向けアプリのみで、これまでのダウンロード回数が2001回しかない。
設立して10周年のウェイボーには、大きなイノベーションは難しいと思われる。次の10年に向けての人気商品が必要だが、緑洲以外は目玉商品がまだないようだ。その理由はが複数考えられる。
まず、サービスの組み合わせにおける検討が不十分であること。ウェイボーにはコンテンツカテゴリーが64あるが、各カテゴリーのデータを統合するミドルエンドがないため、新商品開発のためのデータの収集と提供ができていない。
次に、ウェイボーが参入しているマーケットの競争が激しいことが挙げられる。「愛動小視頻(aidong)」も喵鳴視頻も強い競合相手がいるため、成長する余地があまりない。
緑洲だけは状況が異なる。「若者のライフファッションSNS」と位置づけされ、インスタグラムのように設計されているが、実質的には「小紅書(RED)」のようなショッピングへ誘導するコミュニティなのである。ウェイボーの公式アカウントを持つセレブやインフルエンサーとの関係性やショッピングのしたくなる雰囲気を演出できていることが、緑洲の成功の礎となっている。これは過去10年間で、ウェイボーがSNSの特性を生かした唯一の新サービスである。
ウェイボーはすでに緑洲の成長のために膨大な投資をしており、これはウェイボーにとって貴重なチャンスになるだろう。
(トップ画像は公式サイトより)
(翻訳:小六)
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