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量子コンピューティング技術を開発する「量旋科技(SpinQ)」がこのほど、シリーズBで数億元(数十億円)を調達した。建信股権投資管理や梁渓科技城発展基金など政府系ファンドのほか、星空投資管理、華強資本(Huaqiang Capital)など複数の投資機関が参加した。資金は主に技術改良や利用シーンの開拓、グローバル展開などに使われる。
SpinQは2018年設立、創業者の項金根CEOは清華大学卒の物理学博士で、ハーバード大学のポスドクおよび准研究員も務めた。同社は技術開発と商用化の両面に注力しており、教育用の核磁気共鳴(NMR)量子コンピューターや産業用の超伝導量子コンピューター、量子コンピューティングのクラウドプラットフォーム、ソフトウェアなどの実用化に取り組み、科学研究や教育、医薬品開発、フィンテック、人工知能(AI)などの分野で活用を推進している。
近年、クラウドコンピューティングやAI、ビッグデータ、AIoTに関わる技術が目覚ましい進化を遂げ、より大きな演算能力に対するニーズが著しく増加している。こうしたなか、従来型コンピューターの限界を突破する量子コンピューティングが、科学技術と産業に革命をもたらす基盤技術として注目されている。
項CEOは、量子コンピューターの市場はまだ十分には形成されておらず、市場開拓と技術開発のバランスをいかにとるかがSpinQにとって大きな課題だと語る。同社は超伝導量子チップの開発から製造、テストまで全プロセスを自社でまかなえる中国でも数少ない企業であり、すでに世界40以上の国・地域で高等教育機関や科学研究機関、産業分野に採用され、幅広い顧客基盤を構築している。
SpinQは2020年、世界初のデスクトップ型NMR量子コンピューター「Gemini」をリリースした。小型でメンテナンス不要、安定性やコストパフォーマンスに優れているなどの特長をもつ。その後、シリーズとして「Gemini mini」「Gemini Lab」「Triangulum Ⅱ」などを立て続けにリリース、教育用から基礎研究用までカバーするラインアップで、世界200カ所以上の大学や高校にサービスを提供している。
超伝導技術では、自社開発した量産可能な標準化量子処理ユニット(QPU)「少微」を2023年にリリース、内部Q値が高いほか、量子ビットの寿命が長く、安定性に優れるといった特長がある。同時にリリースした測定制御システムは、量子ビットの操作を大きく改善し、測定精度の向上や高速のキャリブレーション、迅速な納品を実現した。リリース初年に中国初の超伝導チップとして中東へ輸出され、翌24年には中国初の超伝導量子コンピューター本体も海外に向け出荷された。
SpinQは今年、材料開発、チップ設計、操作精度、読み取り効率、システムインテグレーションなど主要技術の更新とブレークスルーを目指す。同時に、100ビット級チップの設計・加工や、第2世代量子測定制御システムの開発を進め、NISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum、ノイズの多い中規模の量子コンピューター)と量子コンピューター実用化に向けて取り組む。
SpinQはこの数年で受注件数と顧客への納品数が大幅に増加しており、2025年の売上高は前年から倍増して5000万元(約10億円)を超えると予想されるという。
項CEOは「量子コンピューティング技術の発展状況から考えると、今後は汎用型量子コンピューターの開発が主流となる」とし、SpinQも量子誤り訂正とフォールトトレラント量子コンピューティングの実験と検証を進めていくと述べた。
*1元=約21円で計算しています
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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