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「中国版ニコニコ動画」ともいわれる動画共有サイト「ビリビリ動画(bilibili)」が19日、2019年第3四半期決算報告(未監査)を発表した。
決算報告書によると、今四半期の総売上高は前年同期比72%増の18億6000万元(約290億円)で、市場予想を超えた。純損失は同65.04%増の4億600万元(約63億円)だった。発表当日の時間外取引で、ビリビリ動画の株価は3.66%上昇した。
売上高の伸びをけん引した主因について、ビリビリ動画は積極的なユーザー獲得戦略と、徐々に改善を図ってきた商業化体制にあるとしている。今四半期、同サイトの月間アクティブユーザー(MAU)は前年同期比38%増、前期比16.36%増の1億2800万人だった。前四半期のMAUは1億1000万人だったが、1800万という伸び幅はビリビリ動画の過去の最高記録を更新する数字だ。
モバイルユーザーに絞ってもMAUは初めて1億人を超え、前年同期比43%増の1億1400万人だった。MAUの増加に伴って、ユーザー経由の月当たりの収入は同25%増となっている。今四半期、課金ユーザー数は同124%増の795万人に上っており、前四半期の630万人から伸びている。
ビリビリ動画特有のカラーを形成しているのは動画投稿者だが、この数も増えている。動画投稿を行う月間アクティブユーザーは前年同期比93%増の110万人で、投稿動画数も同83%増の310万本となっている。
ビリビリ動画への動画投稿が許可されているのは100の設問から成るテストに合格した正会員のみだが、今四半期は正会員数も前年同期比46%増の6200万人に達している。また、同サイトの動画再生回数は1日平均7億2500万回、コメント投稿数は月平均25億回で、それぞれ前年同期比60%増、122%増となっている。
事業別売上高をみてみると、主要事業であるゲーム事業は前年同期比25%増の9億3000万元(約144億円)で、伸びは引き続き鈍ってきている。中国内で配信する人気タイトル「Fate/Grand Order」が同事業を支えるほか、近く複数のタイトルに配信許可が下りる見込みだという。さらに、香港・台湾・マカオおよび日本や韓国などの海外市場でも配信事業を進めており、「ガール・カフェ・ガン(双生視界)」やオリジナルタイトル「重装戦姫(Final Gear)」など多数のタイトルを配信している。
ゲーム以外の事業(ライブ配信・広告・Eコマース)の売上高も前年同期比176%増の9億3000万元(約144億円)となっており、総売上高の半分を占めるようになっている。
そのうち、ライブ配信・付加価値サービス事業の売上高は前年同期比167%増、前期比38.04%増の4億5000万元(約70億円)だった。また、9月末時点の有料会員数は同129%増の610万人に上った。コミュニティ限定のコンテンツを拡充したことや、他プラットフォームと連動して新規会員獲得活動を行ったことが功を奏している。
広告事業の売上高は前年同期比80%増、前期比47.06%増の2億5000万元(約40億円)だった。他動画サイトと比較して市場要因の影響が少なく、良好な成長ペースを維持している。ただし、広告事業そのものの規模が小さいことも市場の影響が少ない一因であり、ビリビリ動画としては同事業による収入を上げていきたいところだ。
中国で11月11日に開催された年間最大の通販イベント「双11」においては、Eコマース最大手のアリババが抱える「天猫(Tmall)」や「タオバオ(淘宝網)」などのプラットフォームと提携してコンテンツによる販促支援を行い、アリババと連携したコンテンツ・コマースのエコシステム構築を図った。
Eコマースおよびその他の事業の売上高は前年同期比703%増の2億3000万元(約35億円)だった。GMV(流通総額)は10月末時点で10億元(約154億円)を超えている。
商業化を急ぐビリビリ動画は、来年には動画投稿者とのブランド提携事業を大規模に進めていく計画だ。アニメ、ドキュメンタリー、バラエティ、eスポーツ、バーチャルアイドルなど多くの分野で商業コンテンツを生み出していく方針だという。動画コンテンツによるマネタイズの可能性を広げるため、アニメやドキュメンタリー作品の共同製作も手がけていく予定で、最新の発表では世界的にヒットしたSF小説「三体」を含むアニメ作品の製作プロジェクトが40本に及ぶという。
各事業とも売上高は伸びているが、同時に売上原価も上がっており、今四半期は前年同期比71%の15億700万元(約230億円)だった。また第4四半期の売上高について、決算書では19億3000万~19億8000万元(約298億~306億円)と楽観的な見方を示している。
※画像はビリビリ動画提供
(翻訳・愛玉)
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