センサーで補助輪の出し方調整。深圳発eカーゴバイク、スマート機能を武器に欧州市場狙う

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電動アシスト付きのカーゴバイク(以下、eカーゴバイク)を手がける中国のスタートアップ企業「迅路創新」がこのほど、4回目の資金調達として新たに数千万元(数億円)を調達した。紅杉中国(Hongshan、旧セコイア・チャイナ)のシードファンドが出資を主導し、順為資本(Shunwei Capital)など複数の既存株主も参加した。資金は初代製品の量産と次世代製品の開発に充てられる。

迅路創新は2023年7月に深圳で設立され、翌24年に欧州向けハイエンドブランド「TARRAN」を打ち出した。初代製品の「T1 Pro」は6999ユーロ(約120万円)、チャイルドシートなどのオプションも選択できる。

航続距離は電池1個で100km、2個搭載すれば200kmと長距離走行のニーズにも応えられる。最大積載量は220kgで、荷台部分に2人乗りのチャイルドシートまたは欧州規格のプラスチックコンテナ3つを積み込める。車体は全長2264mmと比較的コンパクトで、最大操舵角67.5度と小回りもきく。

欧州では持続可能なモビリティやラストワンマイル配送の需要が高まり、eカーゴバイク市場が急拡大している。例えばドイツでは、2023年の販売台数が前年比14.5%増の18万9000台となり、電動アシスト自転車の販売台数に占める割合が7.5%から9%に上昇した。

創業者の郭灼氏は2023年初頭に欧州で現地調査を行い、既存ブランドではユーザーのニーズを十分に満たせていないと判断。安全性と操作性、そしてスマート性能に重点を置いたeカーゴバイクの開発に踏み切ったという。

同社はロボットシステムの発想を応用し、独自技術の開発に取り組んだ。補助輪システム「Dynamic Dualdrive」はその代表例で、2つの補助輪を独立したのモーターと制御アルゴリズムでコントロールし、低速走行時や路面に凹凸がある場合には自動で展開、速度を上げると自動で格納する。また、停車時には補助輪がセンタースタンドとなるため、従来のカーゴバイクの課題だった転倒のリスクも低減できる。さらに、6軸センサーユニットが車体の状態をリアルタイムで検知し、補助輪の出し方を調整するため、坂道の安定走行も可能となる。

従来型自転車メーカーは、独ボッシュなど海外メーカーから電動システムを調達し、基本的な電動化を迅速に成し遂げた。しかし、システムがオープンソース化されることはないため、各社とも自社のニーズや蓄積に基づいて機能を定義できず、差別化も図れなかった。

迅路創新は、中国メーカーの「高標(Gobao)」と提携し、モーターを自社開発する道を選択した。さらに、車載機器の中央制御システムも独自開発してスマート化の水準を大きく高め、必要とされる機能を自由に開発できるようにした。

T1 Proは環境検知の面でも優れており、車載レベルのミリ波レーダー(周波数70Hz)を搭載することで、検知可能な距離・範囲・データ精度を大幅に高めた。また、車体の前・中・後に取り付けた超高解像度カメラによって、後方から接近する車両や障害物、狭路などをリアルタイムで検知し、ハンドルの振動やディスプレー表示でアラートを出す。

また、5.2インチのタッチディスプレーと専用OS「TarranOS」を実装し、スマートフォン連携によるナビゲーションや通話機能を使えるほか、ヘッドライトやディスプレーの明るさもコントロールできる。

専用アプリを通じたキーレスエントリーも可能なうえ、車両の電源が落ちるとサスペンションが自動でロックされ、監視モードが起動する。不審な動きがあれば警報音を発すると同時に専用アプリにアラートが送られる。GPS機能と録画機能で現在地を追跡することもできるなど、欧州で深刻化する盗難対策も万全だ。

*1元=約21円、1ユーロ=約173円で計算しています。

(翻訳・田村広子)

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