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中国のAIoT大手「特斯聯(TERMINUS)」と人型ロボット大手「優必選(UBTECH)」がこのほど戦略提携を結んだ。双方の技術を持ちより、AIが3D空間を認識する「空間知能(Spatial Intelligence)」と身体性を持つ人工知能「エンボディドAI」を融合させたAIエージェント型ロボットの大規模商用化を目指す。
足元では、世界のエンボディドAI産業が「研究室でのデモンストレーション」から「産業化に向けた初期の導入段階」へと移行しつつある。技術の継続的な改良が続き、投資家からの注目度も高い。しかし、技術的なボトルネックや演算コスト、実際の活用シーンなどに課題が残り、大規模商用化は進んでいない。
エンボディドAIは「考える頭脳」と「行動する身体」が合体したものだ。しかし、現実の環境は複雑で非構造化データにあふれており、光の変化、遮蔽物の存在、地面の凸凹などが、エンボディドAIの汎化能力獲得に厳しい課題を突きつける。エンボディドAIに現実世界を正確に認識・理解させ、自律的に現実世界とやり取りさせるための鍵が、空間知能だ。
TERMINUSは、AIoT分野向けAIモデル、AIoTインフラ、AIoTエージェントの3つの分野を軸に空間知能の実現を目指す。
AIoT向けAIモデルは、ロボットなどの機械が現実世界を視覚的に理解するための鍵となる。TERMINUSが開発した「空間AIモデル」は従来の言語モデルの限界を打ち破るものだ。マルチモーダル統合と推論能力によって、重力や摩擦力、空間における物体同士の関係性といった物理法則を理解・処理できるため、現実空間で求められる複雑なタスクの分解と計画が可能になる。
AIoTインフラについては、独自開発した「ハイブリッド推論・演算プラットフォーム(HICP)」が、異なる種類の演算用チップを組み合わせる「ヘテロジニアスコンピューティング」の統一的なスケジューリングと管理を実現。エンボディドAIのクラウド上での訓練や端末側での推論に、高性能かつ低遅延の演算リソースを提供する。すでに10種類以上の国産チップに適合することが確認されているという。
TERMINUSが開発したAIoTエージェントは、人間と同様の思考・長期記憶・高度な知覚・協働能力を備え、UBTECHの群知能システムと効率的に連携する。これにより、複雑な非構造化環境でもロボットの自律的な意思決定と協働能力が大幅に向上し、ロボットの作業は「機械的な実行」から「知的な協働」へと進化する。
UBTECHの周剣CEOは、ロボットがタスクを実行する「単なるツール」から人と協働する能力を備えた「AIエージェント」に進化するためには、環境の意味や動的法則を深く理解する必要があると指摘する。
今回の提携では、TERMINUSが独自の空間AIモデルや高品質な空間データを通じ、ロボットの訓練に万全のサポートを提供する。UBTECHの人型ロボットが稼働中に生成したマルチモーダルなインタラクションデータは、空間データの充実を図るため継続的に活用される。両社はこのシステムの最適化を続け、次世代のAIエージェント型ロボットを共に開発していく。
(翻訳・田村広子)
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