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電気自動車(EV)で人気の完全格納式ドアハンドルに、見直しの動きが出ている。
車体とフラットに収まり空気抵抗を減らせることから、近未来的な意匠として米テスラや中国の理想汽車(Li Auto)、蔚来汽車(NIO)に加え、メルセデス・ベンツ、ポルシェ、ボルボなども採用を広げてきた。だが実使用でのトラブルや救助時の課題が表面化し、安全性への懸念が高まっている。

たとえば、
・冬季の凍結でハンドルが出てこなく、手作業で氷を除く事例が多い。
・電源断や電装故障時にハンドルが作動せず、ドアが開かない。
・位置が分かりにくく、高齢者や子どもに扱いづらい。開閉時の挟み込み懸念も。
・衝突で電力が遮断されると外側から開錠できず救助が遅れる。結局ガラス破砕に頼るケースもある。
こうした潜在リスクが認知され、デザイン性を重視する潮流から安全基準の整備を求める声が強まっていた。
新たな国家標準の骨子
中国工業情報化部は9月24日、業界からも注目されているドア外部の完全格納式ドアハンドルについて、形状、位置、安全基準の新たな規定を設ける「自動車ドアハンドル安全技術要求」、およびその他3項目の強制性国家標準の改訂案を公開し、意見募集を開始した。
例えば、各ドア(リアゲートを除く)に機械的な解除機能を備えたドアハンドルを設けること、施錠された状態でも、バッテリーの熱暴走など事故が起きた場合に、非衝突側のドアを、工具を使わずに外部のハンドルで開けられることなどが明確に示された。また、外部ドアハンドルは常に車体表面との間に、60ミリ×20ミリ×25ミリ以上の操作空間を確保しなければならないことも示された。
この基準がそのまま施行されれば、テスラ「Model 3/Y」やNIO「ET5/ET7」など、現在市販される完全格納式の約9割が不適合となる見通し。各社が同様のデザインを継続するには、新構造の開発が必要で、技術難度とコストの上昇は避けにくい。
小米汽車(Xiaomi Auto)の「SU7」や問界(AITO)「M8」、極氪(Zeekr)「001」などで採用している半格納式デザインは、指を入れるスペースがあり、機械的な解錠機構が一体化されていて、新規格にも適合する。このタイプが今後の主流になるかもしれない。

これから各方面からのフィードバックが集められ、工業情報化部がそれらをもとに草案を修正して練り上げ、最終的に正式な国家標準として公布・施行される。今後のタイムスケジュールとしては、2027年1月1日から新基準を施行し、同年7月1日以降、新たに型式認証申請する車両は規則を満たす必要があり、28年7月1日以降は生産中の全車両も規則に適合させるべき、という案が示されている。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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