AI溶接ロボットで製造現場の人手不足に挑む、非標準部品にも対応:中国・3Srobotics

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溶接作業に特化したスマートロボットを開発する中国スタートアップ「昇視唯盛(3Srobotics)」はこのほど、中科信控や臨創司南基金などから1億元(約20億円)の資金調達を実施した。資金はAIモデルの高度化や、製品・市場展開に充てられる。

昇視唯盛は2020年設立。作業環境の過酷さから溶接工不足が深刻化している製造業の課題解決を目指し、自ら判断して動く自律型の溶接ロボットの提供に注力している。

溶接技術・ロボット本体・AIアルゴリズムを組み合わせた独自技術を持つ中国でも数少ないロボット開発企業として、「国家ハイテク企業」に認定されたほか、上海市の「専精特新(専門化・精密化・特徴化・新規性)企業」、およびスマートロボット分野の「模範企業」にも選定されている。知的財産権は100件以上を保有し、中国中鉄(China Railway)、国家電網(State Grid)、中国中車(CRRC)、宝山鋼鉄(Baosteel)、上海汽車(SAIC)など中国の主要国有企業が顧客に名を連ねる。

2022年には製造業向けスマートロボットを開発する哈工現代(HGXD)を子会社化し、浙江省海寧市にある工場で年間1000台を生産、これまでに5000台以上を出荷している。

第二世代製品:スマート溶接ステーション(画像は企業提供)

同社は三世代にわたる製品を展開している。第一世代は汎用型の産業ロボット。第二世代はAI認識と3Dモデリング機能を備えたティーチング不要のスマート溶接ロボットで、量産出荷を開始している。第三世代は車輪式と脚式の自律移動型溶接ロボットで、一部モデルの市場投入が始まっている。

溶接作業は産業ロボットの用途としては最大の市場だ。2025年時点で中国では溶接工が500万人不足し、35年にはそれが1000万人にまで拡大すると予測されている。特に、非標準部品の溶接については、スマートロボットの導入率が20%未満にとどまっており、巨大なブルーオーシャンとなっている。

創業者の王徳釗CEOは、業界最大の課題として「製品のスマート化が遅れていること」を挙げ、溶接に求められる精度・効率・品質を実現するため、より高度なAIモデルやデータを駆使したトレーニングで製品を改良する必要があると指摘した。同社はエンド・ツー・エンド(E2E)のロボット用AIモデルを採用し、溶接分野に特化したマルチモーダルモデルを使ってロボットが溶接タスクを理解できるようトレーニングする。これにより、ロボットは非標準部品や複雑な作業環境でも優れた適応性を発揮し、溶融池のモニタリングやプロセス調整といった高度な作業も実現した。

レーザー溶接ステーション(画像は企業提供)

昇視唯盛は2025年に売上高1億元(約20億円)突破を見込む。従業員の半数以上を研究開発スタッフが占め、主要なプロセスを全て自社開発しているため、コスト競争力を高めている。今後は溶接分野に注力し、技術優位性を確立したうえで、他の製造工程への拡大を図る方針を示している。中長期的には、東南アジアや中東、日本、韓国といった海外市場への進出も視野に入れている。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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