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最近の中国では、電子商取引(EC)サイトで洋服を購入すると、驚くほど大きな商品タグがついていていることがある。しかも、手のひらサイズからA4用紙サイズまでさまざまな大きさの商品タグいっぱいに、「試着の際は外さないでください。外した場合は返品・交換できません」と書いてある。
巨大な商品タグは、悪質な返品の多発に悩む小売業者の苦肉の策だ。中国のECサイトでは、大部分の小売業者が「7日間無条件返品」をうたっている。これを逆手にとった一部の消費者が、「試着」と称して商品を「タダで着用」した後に返品し、アパレル製品を取り扱うEC事業者を困らせているのだ。

あるEC事業者は、2024年の「双11(ダブルイレブン)」セールで500万元(約1億1000万円)相当の商品を用意したところ、返品額が400万元(約8800万円)近くに上り、返品送料保険だけで12万元(約260万円)かかったと嘆く。また、ある企業は年間売上高が1億元(約22億円)を超えるが、純利益は200万〜300万元(約4400万〜6600万円)にすぎず、返品された商品の倉庫保管・仕分け・洗浄・修復に年間1000万元(約2億2000万円)近くを支出しているという。
悪質な返品は今に始まったことではなく、その原因も複雑だ。まず、少しでも得をしたい消費者心理と7日間無条件返品制度が掛け合わされ、一部消費者の利己心が増幅したと考えられる。また、返品送料保険が普及したことで、消費者が返送料を負担する必要がなくなったことに加え、宅配業者による集荷や宅配ステーションへの持ち込みが可能なため、手軽に返品できるようになった点も挙げられる。さらに、ECサイトの評価システムでは利用者の身元が分からないため、悪質な返品をしても消費者自身の道徳的評価が下がる心配もない。
不利益を被るのはEC事業者だけではない。事業者の損失は最終的に定価に上乗せされ、一般消費者の身に跳ね返ってくる。返品が繰り返された「新古品」を買ってしまう可能性も出てくる。
巨大な商品タグは、今のところ悪質な返品の防止に一定の効果を発揮しているようだ。浙江省にある婦人服店の経営者が「パッケージを開封すると再販売に影響します」と印刷した大きな商品タグを取り付けたところ、店舗での返品率が45%から28%に低下した。別の事業者では、オンラインショップの悪質な返品率が42%から18%に低下したという。
一方で、新たな問題も生まれている。巨大な商品タグを特注すると、デザイン料や印刷代、輸送費を含めて1セットあたりのコストが8元(約180円)に達することもあり、事業者の利益を圧迫している。
大きすぎる商品タグは、消費者体験とブランドイメージを損なう可能性もある。あるアパレルブランドの創業者は、返品率の低下でコスト削減に成功したとしても、ブランドイメージが低下して、結果的には高くついてしまうと率直に指摘した。
悪質な返品の頻発は、EC業界全体の健全な成長に深刻な影響を与えている。ECプラットフォームもこの問題を傍観しているわけではない。ビッグデータを活用してユーザーの注文頻度や返品率、返品理由、商品の破損度などを分析し、信用評価モデルを構築しようとしている。例えば、ハイリスクなユーザーに対しては、保険料の引き上げや補償の制限または拒否を伴う特別な返品送料保険制度を適用し、悪質なユーザーの負担を増やすことを考えているという。
*1元=約22円で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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