4本腕・52自由度の産業用ロボット、中国「SAGE」が打ち出す 柔軟生産に対応

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産業用の人工知能(AI)搭載ロボットを開発する中国スタートアップ「颯智智能(SAGE Intelligent;iSAGE)」が、追加のシリーズAラウンドを2度実施し、海通開元(HT Capital)および国元証券(Guoyuan Securities)系子会社から合計で数億元(数十億円)を調達した。資金は技術開発や海外市場の開拓、スマートファクトリーの建設に充てられる。

颯智智能は2018年に設立され、本社を上海市に置く。創業者の張建政・最高経営責任者(CEO)は上海交通大学でロボット工学の博士号を取得し、約20年以上にわたり研究開発に携わってきた。世界最大級の産業用ロボットメーカーであるファナックに在籍していた時代には、中国初となる自動車業界向け3Dビジョン・ハンドアイシステムの開発を主導した経験を持つ。

主力製品は、単腕・双腕ロボット、自律走行搬送ロボット(AMR)などに加え、2025年7月に発表した初となる4本腕のAIロボット「SageMan」だ。いずれも同社が独自に開発したオペレーションシステム「SAGE-OS」とコントローラ「SAGE-Brain」を中核に、検知、意思決定、動作計画、制御までを低遅延でリアルタイムに実行できる。

SageManは工場の生産効率向上を目的に設定され、4本のアームが協調して動作することで、複数工程を同時に自動化できる点が特徴だ。全体で52自由度を有し、人間に近い高い可動性と複雑な動作を実現する。1本あたりの可搬重量は最大16キログラム、位置決め精度は±0.05ミリに達し、従来方式に比べ作業効率は最大で約200%向上するとしている。

構造面では、左右対称のトポロジー設計により360度の円筒状作業エリアを確保した。下肢には多自由度の協調機構を備え、車輪式の移動プラットフォームと組み合わせることで、傾斜のある床面や狭い通路など、非構造化環境においても安定した作業を可能にする。

颯智智能の4本腕ロボット

同社のロボット製品は、視覚や力覚など複数のセンサー情報を統合し、独自のVLA(視覚・言語・行動)モデルや運動制御アルゴリズムを用いることで、工場の動的な環境下でも高精度な組立や検査を実行できる。主にディスクリート製造分野を想定し、自動車のワイヤーハーネス検査、精密機器組立、電子部品の補給や検査、医薬品製造における無菌操作など、幅広い用途に対応する。

張CEOは「従来の産業用ロボットは溶接や塗装といった定型作業に適していたが、新興自動車メーカーや電子機器分野では、生産工程の頻繁な変更や小ロット多品目生産への対応が求められている」と指摘する。製造業全体の約7割を占めるディスクリート製造で、柔軟に移動・配置できる自律型ロボットへの需要が急速に高まっているという。

同社は現在、自動車や電子機器業界のトップメーカーを中心に顧客を増やすと共に、新エネルギーや食品、医薬品など幅広い分野へ事業を広げている。これまでに中国の電気自動車(EV)メーカー理想汽車(Li Auto)やヘルスケアの米ジョンソン・エンド・ジョンソン、日本の三菱電機などとの取引実績を持つ。

複合ロボット

製品の価格は「人手の代替」を基準とし、導入企業が1.5~2年分の人件費で投資回収できる水準とした。技術面では、オペレーションシステムやコントローラを独自に開発したほか、モジュール設計を通じて全体のコスト低減を図っている。

同社はすでに数年連続で黒字を確保しており、2026年は売上高成長率が300%増となる見込み。現在の年間出荷台数は約1000台で、今後は年5000台規模への生産能力拡大を計画する。

また、海外展開も加速している。海外事業の売上高比率はすでに2割を超えており、将来的には5割前後まで引き上げる方針だ。東南アジアやメキシコ、欧州、中東などで現地チームの構築を強化し、販売、技術サポート、サービス拠点の設立を進めている。

*1元=約22円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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