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中国自動車大手の広汽集団(GACグループ)からインキュベーション(事業化支援)を経て誕生したeVTOL(電動垂直離着陸機=空飛ぶクルマ)スタートアップ、高域科技(GOVY TECH、広東省広州市)が本格始動した。2025年初めの設立以来、すでに2億元(約44億円)規模の資金を調達。自動車のサプライチェーンと航空技術を融合させ、次世代モビリティ「低空経済」の覇権を狙う。
eVTOL3機種を開発、全固体電池の搭載も見据える
高域科技は、利用シーンに合わせた3機種のeVTOLを自社開発している。30キロ圏内の短距離移動には、陸空両用の「AirCar」やマルチコプター型の「AirCab」を投入。一方、都市間移動を担う中長距離モデル「AirJet」には、離着陸用の回転翼(ローター)と巡航用の固定翼を組み合わせた「複合翼」を採用し、グレーターベイエリア(粤港澳大湾区)内の200キロ圏をカバーする。
将来的に広汽集団が開発した全固体電池を搭載すれば、航続距離は400kmを超え、交通ハブや都市を結ぶ高速モビリティの新たなソリューションになることが期待される。
また、全機種に「レベル4」相当の自動運転システムを搭載し、機体には航空機グレードのカーボンファイバーを採用。ローターやプロペラの多軸化により、万一の故障時でも安全を確保する高い冗長性を備えている。
自動車の技術やサプライチェーンを活用
同社の最大の競争力は、親会社である広汽集団が10年かけて蓄積したEV(電気自動車)技術と、そのサプライチェーンを7割以上活用できる点にある。航空機の安全基準を満たしつつ、自動車の量産ロジックを導入することで、製造コストの大幅な低減を実現した。現在、飛行制御やナビゲーション、自動運転などのコアシステムを自社開発しており、内製化を進めている。
また、ソフトウェアで機能を定義する「SDM(Software Defined Mobility)」をコンセプトに掲げ、通信経由でソフトを更新する「OTA」を導入。モジュール化や標準化を進めることで、製品改良のスピードを加速させている。
エコシステムの構築にも注力
創業者の蘇慶鵬氏は「低空経済の鍵を握るのはハードではなくエコシステムだ」と説明する。同社は機体開発にとどまらず、以下の4領域でインフラ構築を急ぐ。
インフラ整備:中国の地方政府や観光地と連携して、粤港澳大湾区などの地域で標準化された離着陸ポイントの建設を進め、充電やスケジューリング、検査などを手がける低空モビリティサービスチームを組織する。
モビリティ提携:広汽集団傘下の如祺出行(On Time)と共に「ロボタクシー」と「ロボエアタクシー」を組み合わせたモビリティサービスを検討するほか、地図アプリの高徳地図(Gaode)や配車サービスの滴滴(DiDi)とは、低空モビリティを利用するためのアプリ連携を進める。また、航空サービス企業などとの提携を通じて、経営の効率化を目指す。
業界標準の制定:リチウムイオン電池の中創新航(CALB)やLiDAR(ライダー)大手の速騰聚創(RoboSense)などと協力し、国家レベルの安全基準づくりに参画する。
利便性の向上:安全性や乗り心地を強化させるために、音声ガイダンス機能や機内の視覚的な開放感、外部との円滑なやり取りなどの最適化を図る。今後、移動時間を地上タクシーの3割以下に短縮しつつ、料金を2〜3倍に抑える実用的な価格体系を目指す。
政策が追い風に
中国政府が「低空経済」を第15次五カ年計画に盛り込んだことで、業界は10年前の新エネルギー車(NEV)普及期のような政策的転換点を迎えている。高域科技は、小鵬汽車(XPeng)傘下の小鵬匯天(ARIDGE)や、吉利汽車(Geely)傘下の沃飛長空(エアロフュギア)と並び、自動車大手を背後に持つ「3大eVTOLメーカー」の一角を占める存在として期待を集める。
同社は2026年中に生産ラインを本格稼働させ、耐空証明の取得とともに、政府の支援が見込まれる特定地域での商用化に踏み出す方針だ。
*1元=約22円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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