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「社内評価では、第2世代VLAは主要競合の5年先を行っている」。中国の電気自動車(EV)メーカー「小鵬汽車(Xpeng Motors)」の何小鵬会長兼CEOは、3月2日に行われた第2世代VLA(Vision-Language-Action)モデル発表会後の取材で、強気な姿勢を見せた。
同社によると、第2世代VLAは3月11日から全国732店舗で体験利用が始まり、同月下旬から段階的に全ユーザーへの展開を進める予定だ。
自動運転は「ソフト定義」から「AI定義」へ
世界の自動運転技術は、従来の「ソフトウェア定義(SDV)」から「AI定義」へと開発の考え方が大きく転換しつつある。こうした流れの中で小鵬汽車は、議論の多いレベル3(L3)を経由せず、L2とL4を進化の軸とする戦略を打ち出した。今後1〜3年で完全自動運転の実用化を目指すとする。
何CEOは、L2からL4への移行は“妥協ばかり”のL3導入よりも意味が大きいと指摘する。L3では責任主体が曖昧になりやすく、ハードウェアや法規に対する要件も非常に厳しいためだ。今回の第2世代VLAを起点に、車両能力をL2からL4へと直接引き上げる「パラダイム転換」を狙う。
同社は自動運転を単なる機能の延長ではなく、「AGI(汎用人工知能)の物理世界への実装」と再定義した。この戦略は組織体制にも反映されており、スマートコックピットと自動運転の開発部門を統合し、AIリソースを一体化した共通基盤を構築している。
自動運転とスマートコックピットを分離して考えるのではなく、パワートレイン、シャシー、コックピット、自動運転を有機的な「エージェント」として統合するという構想を描く。これにより車両は単なる操作対象から、利用者のニーズを先読みして能動的にサービスを提供する存在へと進化するとみている。
何CEOは、こうした統合制御が実現すれば、安全性や応答性は数倍向上するとし、将来的にロボタクシーと高級自家用車を分ける重要な分岐点になるとの見方を示した。なお、第2世代VLAを搭載したロボタクシーはすでに走行テストを開始しており、年内に試験運用が始まる見込みだ。
L4実現の鍵握る基盤モデル
小鵬汽車の汎用AIセンター(通用智能中心)の責任者を務める劉先明氏は、ベル4実現の前提として「基盤モデルの構築」が不可欠だと強調する。
米アルファベット傘下のWaymoなど企業が高精度地図やルールベースに依存した開発を進めてきた。一方、小鵬汽車はピュアビジョン、エンドツーエンド(E2E)、AIモデルを組み合わせるアプローチを採用する。
劉氏によると、従来のL4は走行可能条件が限定されていたため、その範囲内での最適化にとどまっていたと指摘する。これに対し、小鵬汽車は「世界モデル」と強化学習を組み合わせることで、未知環境への対応力を高める方針だ。
具体的な実用化時期は明示していないが、劉氏は基盤モデルの進化が想定以上の速度で進んでいるとし、「ほぼ日単位で更新が進んでいる」と述べた。何CEOも、完全自動運転の実現は1〜3年、車両が高度なAIエージェントへ進化するには3〜5年を要するとの見通しを示した。
このほか、海外市場への適応について劉氏は、第2世代VLAの高い汎化能力に言及した。世界モデルの生成能力と組み合わせることで、特定地域のデータに依存せず各国市場へ迅速に適応できる可能性があるという。
同社は第2世代VLAを2027年に世界市場で展開する計画で、最初の顧客として独フォルクスワーゲン(VW)が予定されている。
計算力競争の中で重視する「効率」
AI開発を支える計算リソースをめぐり業界内の競争が激しさを増すなか、劉氏は冷静な姿勢を崩さない。単に計算能力を増強しても、利用効率を軽視すれば空回りに終わり、消費者の体感にもつながらないとし、「重要なのは計算能力をどれだけ高めたかではなく、どう活用するかだ」と指摘する。これは小鵬汽車が自社開発のAIチップ「図霊(Turing)」にこだわる理由でもあるという。
また何CEOは、高品質な大規模データの確保が依然として最大の課題であると指摘する。車両台数が数十万台規模に達しても、物理世界のデータ量は膨大であり、依然として出発点に過ぎないとの認識だ。
中国の自動車市場は激しい競争が続くが、第2世代VLAが全車種に展開されれば、小鵬汽車は単なる自動車メーカーから巨大なAI・テック企業へと軸足を移すことになる。物理世界におけるAGIの実装競争は、新たな段階を迎えている。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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