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春節には例年モバイルゲームの人気が高まるが、今年の熱気は誰もが予期せぬ形で到来した。
新型コロナウイルスは2020年の春節を覆い尽くす悪夢となり、中国国民は自宅に籠もってスマートフォンをいじるしかなくなった。そのため、ゲーム、バラエティ番組、ドラマを楽しむ人が増えたのだ。
2020年の春節の災難は、モバイルゲーム業界にとって追い風となったのである。
「Plague Inc.」の人気
今年の春節で最も注目されたゲームは「Plague Inc.」だ。
このゲームはウイルスの感染拡大をシミュレーションし、ウイルスへの理解を深めるゲームだ。2012年に発表され、当初は鳴かず飛ばずだったが、その2年後西アフリカでエボラ出血熱が発生し、このゲームは一躍有名になった。
iOSプラットフォームのデータによると、2019年12月25日、このゲームは有料ゲームランキングで25位だったが、新型コロナウイルスへの注目度が高まると、ランキングも急速に上昇し、その後有料ゲーム、有料シミュレーションゲーム、有料ストラテジーゲーム、有料iOS10ゲームの4つのランキングでトップとなった。中国エリアで1位になったのは史上初である。
最大の勝者はテンセント
「Plague Inc」と同時に、ほかのモバイルゲームの人気も沸騰した。
中国の企業情報検索サービス「企査査(qichacha.com)」によると、ここ一週間のアプリダウンロードの40%近くをゲームが占めており、他のアプリを大きく引き離しているという。無料ゲームのダウンロードが特に多く、無料ゲームランキングトップ10のうち、6本がカジュアルゲーム(短時間で楽しめる、操作の簡単なゲーム)だ。
モバイルゲームへの課金も増えている。春節期間中、「王者栄耀」、「ゲーム・フォー・ピース」、「陰陽師」の一日課金総額はともに史上最高を更新した。
なかでも、「テンセント(騰訊)」は最大の勝者だ。市場調査会社「App Annie」が発表した「2020年モバイル市場レポート」によると、2019年の全世界のゲーム市場において、モバイルゲームのシェアは56%になり、そのうち中国のユーザーの課金額上位10本のうち、5本がテンセントの開発またはパブリッシングしているものだ。テンセントはこれにより世界でもっとも収益を上げるモバイルゲーム会社となった。第二位は同じく中国の「網易(NetEase)」であり、モバイルゲーム市場は両社の寡占状態である。
第三の勢力を目指す「字節跳動」
上記2社のほか、「抖音(douyin、海外では「TikTok」)」などを運営する「字節跳動(バイトダンス、ByteDance)」も急成長し、今や無視できない勢力となった。
中小のゲーム会社にとって、自作のゲームを宣伝するチャネルは限られているため、トラフィックを購入して宣伝することがよくある。2018年、中国でのモバイルゲームによるトラフィック購入額が400億元(約6400億円)に達した。そのうちゲーム会社がバイトダンスから購入したのは150億元(約2400億円)であり、37.50%のシェアだ。2019年上半期も、バイトダンスのNo.1シェアの座は変わらず、グローバルでは伸び率がもっとも早いトラフィック誘導のプラットフォームとなった。トラフィックのほか、バイトダンスは独占的パブリッシングにも進出し、ゲーム市場のパイから一部を奪おうとしている。
例えば2019年4月中国エリアのiOSモバイルゲームの月次ダウンロードランキングを見ると、トップ10のうち3本のパブリッシャーが同社だ。
バイトダンスはこのことによりカジュアルゲームでトップクラスの企業となった。この春節はカジュアルゲームのダウンロードが最も多かったため、バイトダンスにとっても大きな追い風となったのである。
2020年1月20日の海外メディアの報道によると、バイトダンスはゲーム事業部を立ち上げている最中であり、今春、自社開発したモバイルゲームを2本発表する予定だ。さらに、同社はすでに北京、杭州、深圳、上海で4つの開発チームを立ち上げているという。
2020年春節のモバイルゲームの人気において、テンセント、網易、バイトダンスが3大勝者となった。今後モバイルゲーム市場の構造はどのように変わるのか、三つ巴の態勢となるのか、マーケットも固唾を呑んで見守っている。
作者:鋅刻度 (ID:znkedu) 陳鄧新
(翻訳:小六)
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