19年の販売台数は8.2%減、 中国自動車市場は「暗雲が散り、夜明けの兆し」

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2019年の中国自動車市場は想定通りで、大きなサプライズはなかった。

中国汽車工業協会(CAAM)が1月13日に発表した2019年の新車販売台数は前年比8.2%減の2576万9千台だった。生産台数は7.5%減の2572万1千台。減少幅は、販売台数が5.4%、生産台数が4.2%それぞれ拡大した。このうち、乗用車は販売台数が9.6%減の2144万4千台、生産台数は9.2%減の2136万台だった。

中国は19年も新車販売・生産台数で世界一を維持したものの、2年連続で前年割れとなった。90年以降続いたプラス成長は18年にマイナスに転じている。

政府補助金の削減など複数の要因が重なったことで、市場が冷え込む中でも期待の星と目されていた新エネルギー車(NEV)の販売が下半期に大きく落ち込み、通年で4.0%減の120万6千台にとどまった。生産台数も2.3%減の124万2千台とふるわなかった。普及の促進に力を入れてきたこの10年間で、初めてのマイナス成長となった。

最も苦しい時期は、まだ遠い先

自動車産業の構造転換や米国との貿易摩擦、新排ガス基準の導入、新エネ車への補助金削減などの影響で、ガソリンなど従来型燃料車の販売・生産台数も減少が続いた。

こういった状況の中、商用車の堅調さが目を引いた。19年はインフラ向け投資の回復や排ガス基準「国4」の車両の淘汰、新エネ物流車両の急成長などのプラス要因により、生産台数は1.9%増の436万台、販売台数も432万4千台と、減少幅が1.1%にとどまった。

生産と販売が全体的に落ち込む中、これからを期待される新エネ車への圧力が高まっている。

このうち、純電気自動車(BEV)の生産台数は前年比で3.4%増えて102万台、販売台数は1.2%減り97万2千台だった。プラグインハイブリッド車(PHEV)は生産台数22.5%減の22万台、販売台数14.5%減の23万2千台。燃料電池車(FCV)は生産台数が85.5%増の2833台、販売台数が79.2%増の2737台となった。

自動車市場は縮小傾向が続き、業界からは悲痛の声が相次いでいる。

業界団体が主催するフォーラム「2020中国電動汽車百人会(China EV100 Forum 2020)」では、EVメーカー「小鵬汽車(Xpeng Motors)」創業者兼CEOの何小鵬氏が「19年はビジネス環境が芳しくなく、新エネ車の成長スピードは多くの人の予想を下回った」と語った。

高級EVメーカー「蔚来汽車(NIO)」創業者兼CEOの李斌氏も、昨年7月の補助金削減後、大きなプレッシャーを感じるようになった。独フォルクスワーゲン グループ チャイナCEOの シュテファン ヴェレンシュタイン氏(Dr. Stephan Wöllenstein)は講演で、この1年は同社にとって「非常に苦しかった」と語っている。

CAAMは自動車市場の今後について、21年まではマイナス成長または横ばいが続くと指摘。22年頃にプラスに転じ、23~25年は年間平均成長率が4%に達するとの予想を示している。

小鵬汽車の何CEOは、今後4、5年は中国さらには世界の自動車産業にとてつもなく大きな変化が起こると述べ、「最も苦しい時期は、まだ遠い先になる」との考えを示した。

CAAMの陳士華副秘書長は、「19年の大幅な補助金削減がメーカーに与えた影響は大きく、業界全体が赤字を抱えている状況にある。新エネ車を通じた黒字化は難しいだろう。政府による次の支援策に期待するが、大幅な財政支援が続くとは考えにくい」と述べた。

答えを出すのは市場と消費者

自動車市場の19年通年のデータは楽観視できないが、肯定的なシグナルも出されている。

中国工業情報化部の苗圩部長は同フォーラムで、補助金について「昨年7月1日に削減しており、今年7月1日に更に削減することはないだろう」と明確に示した。この言葉は買い時を見計らっていた消費者と、その影響を受けてきた新エネ車メーカーを安心させたに違いない。

苗氏は「販売台数は昨年11月から順調に推移しており、今月は補助金削減前の水準に既に戻っている。補助金減額のマイナス影響が回復しつつあることを示している。新エネ車も品質が大幅に改善し、ミドル・ハイエンド市場のシェアが高まっている」と語った。

苗氏はさらに、工業情報化部が昨年7月と9月に「乗用車企業平均燃料消費量と新エネルギー車クレジット並行管理弁法」改正案に対するパブリックコメント(意見公募)を実施し、それらの意見をもとに改正した「新ダブルクレジット政策」の公布が近いことも明かした。

19年の新エネ車は補助金に依存する傾向が強かったが、補助金の縮小計画は変えられない事実である。

財政部は15年に補助金の段階的撤廃を発表しており、計画によれば20年末に完全に廃止する。

苗氏は、自動車大手各社の20年の市場予想は概ね同じで、販売・生産台数は若干のマイナス成長か横ばいになると指摘。「18年は約10%減、19年は約8%減と2年連続で大幅に落ち込んだが、減少幅は縮小されつつある。自動車産業は今年、遅くても来年には底を打ち、安定期に入るだろう。われわれの見通しでは販売・生産台数は2500万台前後を維持できる」との見方を示した。

作者:未来汽車日報(WeChat ID:auto-time)、王妍
(翻訳:貴美華)

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