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人気ゲーム「荒野行動」などで知られる中国ネット大手「ネットイース(NetEase、網易)」は5月20日、米国株式市場の取引終了後に2020年第1四半期(1~3月)の決算を発表した。
2020年第1四半期の売上高は前年同期比18.3%増加の170億6000万元(約2600億円)(2019年第1四半期はアリババに売却した越境ECネットイースコアラのデータを除いた売上高で比較)となり、市場予想の156億5400万元(約2400億円)を超えている。同社株主に帰属する継続事業当期純利益も市場予想を上回る35億5000万元(約540億円)で、前年同期に比べ30%近く増加した。
決算発表後、ネットイース株は時間外で2.35%値上がりし、時価総額は511億2200万ドル(約5兆5100億円)となった。
オンラインゲーム事業の純収入は前年同期比14.1%増の135億2000万元(約2050億円)で、8四半期連続で100億元(約1500億円)超えを達成している。特に好調なのがモバイルゲームと海外市場だ。App Annieが発表した最新の世界ゲームパブリッシャー上位52社ランキングの中でネットイースはテンセントに次いで第2位、中国パブリッシャーの海外売上ランキングでも19位にランクインしている。日本でも大人気のゲーム「荒野行動」や「第五人格(Identity V)」は海外市場で快進撃を続けており、第1四半期の中国パブリッシャー海外売上ランキングで第3位につけた。
投資銀行「中国国際金融(CICC)」はかつて、ゲームのグローバル化により、ネットイースの売上高は長期的な成長を見込めると語った。今後2年以内に、海外での売上高を全体の30%に引き上げるという目標に到達する可能性も出てきた。
今四半期の決算発表前、中国国際金融や証券大手「華泰証券(HTSC)」は新型コロナウイルスの影響について、ネットイースのモバイルゲームやEC事業への打撃は小さくないものの、教育や音楽事業にとってはむしろプラスになると指摘していた。
最新決算はまさにその予測通りとなった。ネット音楽配信サービス「網易雲音楽(NetEase Cloud Music)」やオンライン教育サービス「網易有道(NetEase Youdao)」も勢いに乗っている。
網易雲音楽の収益増加は目覚ましく、有料会員の増加も止まらない。これがイノベーションおよびその他事業の純収入を押し上げ、前年同期比28%増の30億元(約455億円)に達した。この成長は著作権管理の推進によるものだ。過去3カ月間にネットイースは著作権関連の重要な提携を4件結んでいる。また、音楽産業の川上・川下にまで幅広く手を広げて戦略提携を展開していることも大きい。
網易有道は5四半期連続で急成長を遂げており、今四半期の純収入は前年同期比139.8%増となる5億4000万元(約82億円)だった。売上高の8割以上を占める教育サービスの純収入は、同226.4%増の4億4000万元(約67億円)、粗利率は43.5%に向上し、営業キャッシュフローは全体でプラスとなった。これを支えているのは、オンライン学習プラットフォーム「有道精品課」の規模拡大だ。財務報告によると、有道精品課の売上高は前年同期比311.9%増加となる4億5000万元(約68億円)で、定額サービスを利用するK12(幼稚園~高校3年生)の有料会員数は同358.7%増の15万3000人に達した。
5月19日時点で、ブルームバーグが追跡するアナリスト39名のうち、ネットイース株を「買い」と判断したのが30名、「中立」が8名、「売り」が1名だった。アナリストの意見を総合した12カ月の目標株価は377.89ドル(約4万円)となった。
(翻訳・畠中裕子)
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