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中国のスマホメーカーのなかで、IoT家電事業にもっとも早く進出したのは「シャオミ(小米、Xiaomi)」だ。同社の2019年の財務レポートによると、IoT家電や生活用品の売上高は621億元(約9000億円)となり、スマートフォンの売上高の半分に達している。また、同分野の伸び率は全事業のなかで最高の41.7%となった。
しかし、2018年第2四半期から、シャオミのIoT家電や生活用品の売上高の伸び率は鈍化しはじめている。中国の他のスマホメーカーもIoT家電に進出したため、シャオミのシェアが奪われた格好だ。果たしてシャオミは、ファーウェイなどの強敵との競争に勝つことができるのだろうか。
「なんでも屋」シャオミ
シャオミの2019年の財務レポートによると、同社のIoTプラットフォームに接続済みのIoTデバイス(スマートフォンとノートPCを除く)は2.348億台となり、前年比で55.6%増え、中国市場トップとなっている。
シャオミの現時点での成功は、同社が2013年という早い時期からIoT家電事業に着手したことによるところが大きい。シャオミはIoTデバイスをすべて自社開発するのではなく、スタートアップへの出資やインキュベーションによって、自社のエコシステムを迅速に構築することができた。その結果、IoT家電のラインナップを、当初のスマートブレスレット、ルーターなどのガジェットから、テレビ、冷蔵庫、エアコンなど大型家電に広げることができたのである。
「国金証券(Sinolink Securities)」の集計によると、2019年時点でシャオミのエコシステムに属する企業は290社超となっており、スマート家電、ウェアラブルデバイス、スマートモビリティなど各分野で製品を発売している。また、SKU総数は世界最多の4000以上である。そのため、シャオミの販売店に足を踏み入れると、家電や生活用品を取り揃えた「なんでも屋」に来たかのような気分になるのだ。
強敵ファーウェイのIoT参入
IoT家電事業にいち早く進出したシャオミだが、ここにきて強敵ファーウェイの脅威が一段と強まっている。
2018年末の時点で、スマホやノートPCを含むIoTプラットフォームに接続したファーウェイのデバイスは3億台となっており、全世界で200社以上が同社のエコシステムに加わっている。
そのうえ、今年3月、ファーウェイの輪番董事長徐直軍氏は、2019年の同社の開発費は1317億元(約2兆円)で、年間売上高の15.3%を占めると発表した。巨額の開発費がもたらしたのは他のスマホメーカーを遥かに凌ぐ技術力であり、現在ファーウェイのIoTシステムはチップ、端末、クラウドすべての面で業界トップである。
ファーウェイと比較した際、シャオミは価格、品目の多さ、UIの使いやすさでは勝っているが、技術面では大きく劣っている。ファーウェイがチップ、OS、データ通信などで蓄積した実力は、シャオミとの競争において強力な武器になるだろう。
ファーウェイ以外のライバルとIoT家電の課題
5Gのインフラが整いつつある今、各スマホメーカは2020年にIoT分野で新たな動きを見せるだろう。例えば「OPPO」は先日の新機種発表会でIoTデバイスを3種類発表し、今年下半期に初のスマートテレビを発表すると予告している。
シャオミが優位性を保つには、より多くのIoTデバイスメーカーをエコシステムに引き入れることが必要なだけでなく、現在ある企業への影響力も保たなければならない。というのも、すでにシャオミの支配から脱却しようとする企業が出てきたためだ。
例えば、シャオミにスマートブレスレットを供給している「華米(Huami)」は、自社ブランドの「Amazfit」でシャオミと競合するスマートブレスレットを発売した。ロボット掃除機開発の「石頭科技(Roborock)」に至っては、2019年に「脱シャオミ」を明言し、自社ブランドで発売した掃除機ロボットの国内シェアがシャオミと拮抗するレベルにまで成長した。
こうした企業に対し、シャオミはスマートデバイスの自社開発を強化し、またエコシステムに属する企業への追加出資を行い、支配権を取得するなどしている。
より大きな課題は、IoT家電へのニーズがどれだけあるのかということである。2019年、バイドゥ(百度)とアリババ傘下のECプラットフォーム「天猫(Tmall)」がスマートスピーカーへの補助金を打ち切ったことが示すように、需要は思うほど伸びていない。スマートテレビも同様で、各家庭にとっての重要性がまだ見えてこない。
IoT家電分野におけるシャオミの優位はあとどれくらい続くのか。今年の各スマホメーカーの競争の結果から、それを予測することができるようになるだろう。
作者:Tech星球(Wechat ID:tech618)、周暁奇
(翻訳:小六)
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