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医療AI開発の「安徳医智(BioMind)」が開発した「BioMind天医智」頭蓋内腫瘍MR画像診断支援ソフトウェアが、中国国家薬品監督管理局(以下「NMPA」と略称)の3類医療機器(安全性審査がもっとも厳しいランク)登録を承認された。「診断支援」用途でNMPAの承認を取得した初のソフトウェアとなった。
他社にも医療AIとして承認されたソフトウェアはあるが、その機能は病気のスクリーニングに限定されていた。それに対し、安徳医智の「BioMind」はスクリーニングに加え、腫瘍の種類について判断することができ、治療法の提案もできるのが最大の違いだ。
頭蓋内腫瘍から各種疾病の診断支援へ
安徳医智の梁偉民董事長によると、頭蓋内腫瘍の診断の開発から着手したのは、臨床における需要があり、ライバルが少ないためだという。
頭蓋内腫瘍は診断が困難で、安徳医智が主催した人間の医師とソフトウェアによるCT画像、MR画像診断のコンテストでは、中国トップクラスの医師15人からなるチームの診断の正確率は、「BioMind」より20%も低かった。そのため、信頼できる診断支援ツールの需要が十分に見込めるのである。また、中国国内でMR画像診断分野の競合相手はほとんどいないという。
複雑な頭蓋内腫瘍の画像診断で承認されたため、安徳医智はこの技術を他の疾病の診断にも活かそうとしている。すでに頭部、頸部、心臓、血管、乳腺などの部位に対応したBioMindシリーズのソフトウェアを開発しており、臨床試験や3類医療機器の登録を申請中だという。
診断支援から意思決定支援へ
適用できる疾病の種類を増やすだけでなく、安徳医智はAIで医師の意思決定をも支援しようとしている。この分野では、脳血管疾患の診断支援システム「天沢」を開発中だ。
このシステムは、入院時点での脳卒中患者のCT/MR画像を読み取り、脳卒中が出血性か虚血性かを判断し、超急性期に必要な措置を提案する。その後も病因や患者の既往歴に合わせて治療法を提案し、最新の研究文献を参考資料として提示することで、医師の意思決定をサポートする。天沢は80の病院で2万3000人を対象に大規模な臨床試験をしている段階である。
医療AIの承認取得の難しさ
医療AIの開発は多数行われているが、承認されたのはほんのわずかだ。その理由として、梁偉民氏は次の2つを挙げている。
まずは臨床試験だ。臨床試験では非劣性または優越性試験が行われる。非劣性とは、被験薬/医療機器が、比較対象よりも臨床的にある許容限界以上に劣っていないこと。優越性とは、比較対象よりも臨床的に優れていることを示すものだ。この基準に基づいて判断する場合、まだ市場に出された医療AIはほぼないため、比較対象は人間の医師ということになる。つまり、人間の医師より正確な診断ができなければ、臨床試験は成功できないのである。
次にデータの取得方法である。最新の規制文書では、医療AIの登録申請をする場合、学習用のデータの有効性と安全性を証明することを義務付けており、多くの企業がこの点で申請を却下されている。一方、安徳医智は「データを病院の外に出さない」というルールを作り、病院内でのみソフトウェアを立ち上げ、データを閲覧、取得している。データのコピー、ダウンロード、アップロードも厳禁とした。また、臨床試験先として選んだのは、すべて中国トップクラスの総合病院であり、これらの病院の医師の助言もあって、質の高いデータを取得でき、有効性と安全性が証明できたのである。
(翻訳:小六)
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