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10月15日午後、ユニクロやGUを運営するファーストリテイリングが2020年8月期(2019年9月1日~2020年8月31日)の連結決算を発表した。
ファーストリテイリングの当期利益は前年比44.4%減となる903億円、売上高が同12.3%減の2兆88億円。黒字は確保したものの、17年ぶりの大幅な減収減益となった。
業績悪化の最大の要因は、新型コロナウイルス感染症の流行による店舗売上の激減だ。感染防止対策のため各地のユニクロ・GU店舗は臨時休業を余儀なくされ、客足は大幅に落ち込んだ。日本国内では緊急事態宣言が出された4~5月に311店舗が臨時休業し、その影響で第3四半期(2020年3~5月)の国内事業は売上高が前年同期比35.5%減、営業利益が同74%減となった。
オフライン業務がこれほど大きな打撃を被った背景には、ユニクロが近年進めているグローバル出店の強化がある。その筆頭が中国市場だ。2002年に上海に1号店をオープンし、2009年には全国32店舗と順調に出店する。それが2015年になると一気に10倍以上の387店舗に急増している。
オフライン事業の業績悪化が深刻な中、救いは好調なオンライン事業だろう。今期のEコマース売上高は前年比で47.7%増加しており、ユニクロの業績を支える大黒柱となっている。
中国のEC市場では、ユニクロは早くも2009年にアリババ傘下のEC大手「天猫(Tmall)」と提携を結ぶ。2015年から2019年にかけては、ビッグセール「双11(ダブルイレブン)」のレディースファッション部門で5年連続売り上げトップに輝いている。2019年第3四半期には、中国におけるEコマース売上高が単独四半期で30%以上の伸びを記録した。
感染症の流行が落ち着きを見せ、オンライン事業も勢いを保つなか、今年6月以降はユニクロ国内事業とGUの売り上げに回復の兆しが見られるようになった。中国市場の売上高と利益も増加に転じている。
ユニクロ創業者の柳井正氏は、オンラインとオフラインを融合させた中国の市場に大きな期待を寄せている。中国の人口から考えて3000店舗を展開することも可能だとし、売上高2兆円も十分に達成できるとの考えを示している。
ユニクロは今年6月以降、1カ月に7店舗のペースで中国の店舗網を拡大しており、8月末の中国の店舗数は日本(764店)を初めて超える767店となった。
今回の決算が7月に公表された業績予測を上回ったこともあり、2021年決算では大幅な増収増益になると予想されている。次期は純利益が前年比82.6%増の1650億円となり、過去最高の業績となった2019年のレベルにまで回復すると見込まれるほか、売上高は同9.5%増の2兆2000億円を予測している。
(翻訳・畠中裕子)
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