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中国のオンライン教育スタートアップ「猿補導(Yuanfudao)」が最新シリーズで合計22億ドル(約2300億円)を調達し、評価額が155億ドル(約1兆6200億円)となったことがわかった。同分野で111億ドル(約1兆1600億円)と最高評価額をつけていたインドの「BYJU’S」を越え、世界のエデュテック業界で最高額をつけるユニコーンに躍り出た。
今シリーズは8月に正式始動し、最終的には2回に分割して実施された。先に既存株主であるテンセント、高瓴資本(Hillhouse Capital)、博裕資本(Boyu Capital)、IDGキャピタルが8月末に12億ドル(約1250億円)を出資した。新規出資者はシリーズ後半の出資を主導したロシア系ファンドDST Globalのほか、中信産業基金(CITIC Private Equity Fund Management)、シンガポール政府投資公社(GIC)、シンガポール政府系基金テマセク・ホールディングス、摯信資本(Trust Bridge Partners Management)、德弘資本(DCP Investment)、景林投資(Greenwoods Investment)、丹合資本(Danhe Capital)などで、10月に入ってから10億ドル(約1050億円)を出資した。猿補導が当初に計画した金額5億ドル(約500億円)の倍額だ。
DST Globalはこれまでにもバイトダンス(字節跳動)、美団点評(Meituan-Dianping)、滴滴出行(DiDi)などの中国企業に出資しており、各業界における「トッププレーヤー」のみに出資するといわれている。
猿補導は今年の事業目標として180億~200億元(約2800億~3100億円)の現金収益を掲げている。K12(5歳から高校生)を対象とした教育事業で150億元(約2400億円)、成人を対象とした教育事業で40億元(約630億円)と見積もっており、今年末に100億元(約1600億円)を売り上げとして計上する見込みだ。
投資家による評価ポイントとしては、猿補導が2018年から始めたオンラインスクール事業が現在までのわずか2年で急成長し、のべ220万人が有料ユーザーとなったこと、同時に始動した低年齢向けのリベラルアーツ教育事業が市場をリードしていることが挙げられる。
投資市場や教育市場が評価の指標とするのは、短期的には新規ユーザー数、長期的には運営効率だ。あるオンライン教育関係者は、同業界における競争を勝ち抜くための核心は運営効率にあり、運営効率とは「顧客獲得率」と「受講継続率」に二分して評価されると説明した。
受講継続率に関しては「猿補導は継続率80%」とも業界内で囁かれているが、同社の運営主管はこれを否定する。
同氏によると、ひと口に継続受講生といっても「初の受講継続」と「2回目以降の受講継続」とは分けて考える必要があり、両者の差は大きいという。新規受講生の継続率は70%あまりだが、新規生は授業が自分には合わないと感じれば離脱してしまうので、継続率は低めとなる。しかし過去に1回でも継続した受講生はすでに授業内容を評価しているユーザーなので、以降も引き続き継続する可能性が高く、継続率は約85%に達している。猿補導では現在、新規受講生の割合が継続受講生より多いため、平均すると継続率は80%には満たないという。
猿補導は「生き残りには継続率85%は必須」と考えており、そのためには新規受講生の継続率を上げていく必要がある。企業の成長速度が速ければ速いほどユーザー全体に占める新規ユーザーの割合は高くなり、利用継続率では低い数値が出る。しかしユーザーがある一定数を超えると継続率も上がり、継続ユーザーの占める割合が多くなってくるからだ。
教育業界では夏季休暇が年間最大の繁忙期だが、今年は秋季に入っても受講生募集合戦の熱は冷めない。従来は各企業とも夏季になると新規生集めのために総力を結集し、8月を過ぎると徐々に減速してくるものだが、今年は一向に沈静化の気配はなく、猿補導もオンライン教育サービスに10億元(約160億円)の資金を投じて「秋の陣」に参戦しているという。
K12教育業界のトップブランドはいずれものべ1000万人のユーザー規模を目指しているが、猿補導は現時点で220万人とまだ大きな成長の余地を残している。1年後には各社の差はさらに大きくなるだろうが、いずれにしろ運営効率で優れている企業が頭一つ抜きんでるに違いない。
(翻訳・愛玉)
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