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KOLがライブコマースで商品を販売する際のサポート役となる「魔筷科技(Magic Chopsticks Technology)」がシリーズC+で数億元(数十億円)を調達した。「鐘鼎資本(Eastern Bell Capital)」と「五源資本(5Y Capital)」が共同でリード・インベスターを務め、コ・インベスターは「衆源資本(United Media FOFs)」「高榕資本(Gaorong Capital)」「米倉資産管理(Rice Bank Asset Management)」。過去にはショート動画大手「快手(Kuaishou、 海外版は「Kwai」)」、IT大手「テンセント(騰訊)」、EC大手「唯品会(VIP.com)」などが同社に対し戦略投資を行っており、他にも複数の投資機関が出資に参加している。
魔筷科技は2015年に設立され、当初は主に大型小売企業に対してEC向けのSaaS型サービスを提供していた。同社の成長の過程では2つの重要な節目がある。1つめは2018年に快手のプラットフォーム上でKOL向けにEC対応のSaaS型サービスを提供し始めたこと。2つめはサプライチェーン分野へ進出し、KOLにサプライチェーンサービスの提供を始めたことだ。
魔筷科技はS2B2C(サプライヤー、中小企業および個人の販売者、消費者を繋ぐECのマーケティング方式)のビジネスモデルを構築し、SaaS型サービスを核としてライブコマース向けのサプライチェーンを開拓した。販売者に当たるKOLは同社のEC専用アプリ「魔筷星選商家版」で商品の供給元を選択し、快手アプリに埋め込まれた魔筷のSaaSを通じて、一般ユーザーに商品を販売できる。魔筷はKOLとサプライヤーを結びつけ、ユーザーに質の高いソーシャルECの利用体験をもたらすことを目指している。
近年、ライブコマースは爆発的な成長を遂げており、魔筷科技のビジネスも急拡大している。同社の主なサービス対象は中堅クラスのKOLで、サービスに登録済みのKOLはすでに数百万人おり、すでに運営サービス体系が確立されている。さらに同社は専門チームを設置し、KOLに向けライブコマースの研修を実施している。
魔筷科技の創業者・王玉林氏は取材に対し、「信頼できるサプライチェーンはライブコマースにとって生命線だ」と語った。このため、同社はKOLと商品の供給元となるサプライヤーを繋げる仕組みを作り上げている。現在、アプリ上に掲載されている商品SKUは50万で、商品カテゴリのカバー率は85%に達し、ライブコマースで人気がある商品に限るとカバー率は90%を超えている。主な商品カテゴリは食品、美容・化粧品、雑貨、ファッションなどで、商品のアップデートも頻繁に行われている。
KOLは専用アプリで売りたい商品を選択してライブコマースで販売し、魔筷科技は発送とアフターサービスを担当している。この仕組みの中で魔筷科技は、大ヒット商品や人気ブランドを作り出すことに成功している。例えば月に150万本を販売したビーベノム(蜂毒)配合歯磨き粉や、1000万元(約1億6000万円)を超える売り上げを記録した地方ブランド「合味芳(he wei fang)」のインスタントたにし麺など、無名のブランドを快手のプラットフォーム上で大ヒット商品にまで押し上げ、その人気を他のECプラットフォームにも波及させてきた。
過去5年間、魔筷科技は技術と製品を絶えず改善しアップグレードしてきた。現在同社のシステム能力と技術は業界のトップ水準にある。大量のデータ転送にも対応でき、毎秒数百万人のユーザーが同時にログインしたり、十万人のユーザーが同時に注文したり、メッセージを送ったりしても耐えられるシステムとなっている。また専門のAIチームも設立し、ビッグデータとAIアルゴリズムによってKOLと商品とのマッチング効率を高めている。
魔筷科技は中国全土に20カ所あまりのライブ配信拠点を設立しており、各拠点は物流倉庫でもあり、ヒット商品の開発、人材トレーニング、イベント企画などの役割も担っている。
今年9月に快手のバージョン8.0がリリースされたのに伴い、魔筷科技はオンライン広告業務も開始した。すでに快手のプラットフォーム上では、主要な広告サービスプロバイダーとなっている。
魔筷科技は快手をメインとしながら、他プラットフォームとの提携も拡大している。テンセントのエコシステム傘下の「微視(WeSee)」「全民K歌」「騰訊視頻(テンセントビデオ)」「QQ」などの各種ショート動画やソーシャルエンターテインメントプラットフォームにもSaaSを介した取引ツール、サプライチェーンサービス、広告サービスなどを提供している。
ビジネス情報サイト「艾媒諮問(iiMedia Research)」によると2020年、中国のライブコマース市場の規模はそれまでの2倍の約9600億元(約15億1000万円)となる見込みだ。
王氏は今後ライブコマースがECの主流モデルの1つとなると考えているが、現在はまだエコシステム構築の初期段階にあり、業界には各方面の効率化など大きな成長の余地があると考えている。魔筷科技はSaaS型サービス、サプライチェーンシステム、サービス体系をさらに拡充し、ライブコマースの基礎を固めていく計画だ。(翻訳・普洱)
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