中国発スマート農業、環境観測から農薬散布まで自動化 IoT活用でコスト減と増益を両立

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スマートアグリを手がける中国のソリューションプロバイダー「雲洋数據(CloudYoung Data)」がプレシリーズAで数千万元(数億円)の資金調達を行った。出資者は「甲子啓航投資(Topsailing Capital)」などで、資金は主に研究・開発と販売チームの構築に充てられる。

雲洋数據は施設栽培に特化したスマートアグリ製品およびソリューションを提供する。設立以来、IoTやAI、ビッグデータなどの先進技術で農業改革を進めており、従来型農業の低コスト化、効率化、高収益化を目指している。

同社の製品体系はハードウェアとソフトウェアに分けられる。ハードウェアは自動検知システムと自動制御システムから成り、自動検知システムは空気・土壌・日照・虫害などの状態を随時モニタリングし、自動制御システムはマンパワーに代替して通風、噴霧、施肥、遮光、シート巻き上げなどの作業を行う。ソフトウェアはパソコンやアプリからアクセスできるクラウドプラットフォームで、作付けの自動管理、作物のトラッキング管理など、IoTやビッグデータを用いた管理作業を行う。

中でも同社のコアコンピタンスとなるのは「作付けモデル」だ。設立当初は実際の作付け現場に赴いて優れた事例を選び、IoTによってモデルライブラリーへ積み上げていった。さらに中国農業科学院(CAAS)などの専門家と共にモデルの最適化を行い、実験や試験を重ねてブラッシュアップしていった。

現行のサービスは、ハードウェアを通じて作付け環境、日照、生育状況、病虫害などのデータを収集してクラウドプラットフォームへ転送し、蓄積されたデータを用いて機械学習を進め、自動分析システムを通じて最適の作付けモデルを探り当てるものだ。さらに、自動制御システムが温度調整や補光、灌水、施肥、農薬散布を行い、栽培の自動化に向けた補助をする。

センサーを通しては空気・土壌・日照・虫害などの状態を随時モニタリングする

1万平方メートルの施設に150万元(約2400万円)の初期投資を行った事例でみると、IoT設備導入費用が10~15万元(約160~240万円)で、資金全体の5~10%を占める。これにより削減できる人的コストが5万元(約80万円)、作業効率化によって実現する増収分が10万元(約160万円)だという。計算上は雲洋数據のソリューションを導入すれば1年で初期費用が回収でき、労働負荷の削減や効率向上のほか、農作物の品質向上も狙える。

雲洋数據のコアメンバーはソフトウェア、ハードウェア、農学、マーケティングマネジメントなどさまざまな専門分野の人材が揃う。創業者でCEOの趙洪啓氏は北京大学のビジネススクール光華管理学院でEMBAを取得。通信機器大手ファーウェイでシニアエンジニアを務め、クラウドコンピューティングやビッグデータ分野で数十年のキャリアを積んだ。加えて、農学博士やアルゴリズムのスペシャリストなどが脇を固める。

2014年に「スマートアグリ(スマート農業)」の概念が提唱されると、現代のコンピューティング技術やインターネット、プラットフォームを活用して農産物の栽培から流通、販売に至るまでの全プロセスをスマート化、デジタル化、IT化する取り組みが始まり、中国における農業発展の指針となった。

中国の産業調査機関・頭豹研究院(LeadLeo)の統計では、スマートアグリ産業は2023年には1332億元(約2兆1100億円)規模に達する見込みだ。スマートアグリの四大応用分野ではデータプラットフォームサービスが最も広範に普及する見込みで、スマートアグリ産業全体の41.50%、次に農業散布ドローンが34.35%を占める。(翻訳・愛玉)


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