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中国スマートフォン大手のシャオミ(小米)が、米国による制裁でスマホ事業に打撃を受けるファーウェイ(華為技術)を尻目に世界シェアを拡大している。その強さの源は、技術投資とスマートマニュファクチャリングへの注力にある。
シャオミは11月5日から3日間の日程で第4回開発者大会「MIDC2020」を開催し、これまでの技術的進展と今後の方針について発表した。
スマホ事業部総裁の曽学忠氏は就任後最初のインタビューで、カメラ、ディスプレーおよび充電に新技術を導入する方針を打ち出していた。
数あるAndroid端末の中で競争を勝ち抜くにはカメラ性能と連続使用時間がカギとなる。シャオミはカメラチームは2014年に設立し、18年にカメラ部門として再編。カメラ関連エンジニアは再編当初の122人から現在の826人に増員されている。今年は、画像の空の部分を変更できる「AI Skyscaping(魔法換天)」機能を打ち出し、カメラ内蔵ディスプレーと80ワットの急速充電で特許を取得している。
今後の技術開発の方向性としては、IoTプラットフォームとの接続やAIによる音声対話システム、次世代通信規格「5G」および「6G」、ビッグデータおよびクラウドサービス、音響技術が挙げられた。大会では、バージョンアップしたAIアシスタント「小愛同学(Xiao AI)5.0」が披露され、話者の個性に対応できる動的な音声認識や至近距離からの音声起動など、独自開発した複数の新技術についても明らかにされた。
シャオミは技術開発に加え、スマートマニュファクチャリング(スマート製造)を今後の重要プロジェクトとして位置付けている。今年初めには北京市大興区亦荘鎮に新設したスマート工場の第1期工事が完了し、最新機種「Mi10 Ultra(小米10至尊版)」の透明版を生産し始めた。現在計画中の第2期工事の規模は、第1期の10倍になる見通しだ。スマート工場で使用される設備の大部分は、シャオミおよびシャオミの提携企業が開発を手掛け、無人生産の実現を目指している。
雷軍CEOは大会の席上、シャオミの基盤は技術にあり、技術開発の基盤は人材であると強調し、来年はエンジニアを全体で新たに5000人採用し、エンジニアチームの規模を現在の1.5倍とする計画を明らかにした。
シャオミの2019年の年次報告書によると、研究開発スタッフは全従業員の49%にあたる8874人で、研究開発費には前年より3割多い75億元(約1200億円)だった。雷軍CEOは今年の研究開発費がこれをさらに上回る100億元(約1600億円)に達するとの見通しを示した。
米IT専門調査会社「IDC」が先ごろ発表した今年第3四半期の世界スマホ市場に関するリポートによると、シャオミのスマホ出荷台数は前年同期比42%増の4650万台で、世界シェア第3位に躍進した。第4位の米アップルがグレーターチャイナエリアでの出荷台数の伸び悩みとiPhone12の発売延期の影響を受け、第2位のファーウェイが米国による制裁の影響でシェアを落とす中での快挙だった。IDCは、コロナ禍におけるネットショッピングの増加および消費がダウングレードされる流れにシャオミ製品のコストパフォーマンスの高さが合致したことが今期のシェア拡大の要因となり、ファーウェイとの差を縮めたと分析している。
(翻訳・田村広子)
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