世界数十の医療機関に導入 AIによる医療画像処理「Subtle Medical」が中国VCなどから12億円を調達

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医用画像処理ソフトウエアを開発する米「Subtle Medical(深透医療)」が、シリーズAで1220万ドル(約12億円)を調達した。リードインベスターは「本草資本(3E Bioventures)」で、コ・インベスターは医療AI投資ファンドの「Fusion Fund」のほか、「Data Collective」「達泰資本(Delta Capital)」「清源資本(Tsingyuan Ventures)」「百度風投(Baidu Ventures)」など。

医療現場へのAI導入は医用画像解析の高速化と効率化を高めている。

Subtle Medicalはそうした企業の一つだ。同社が開発したMRI用ソフト「SUBT LEM R™」とPET用ソフト「SubtlePET™」は、どちらも米食品医薬品局(FDA)と欧州CEの認証を取得している。

最近、Subtle MedicalはEU最大の医用画像診断センターネットワーク「Affidea」と共同で、核医学のトップジャーナル「EJNMMI」に論文を発表した。その中で、画像強調ソフトウエアに関する業界初の多施設治験の分析結果を詳述し、大量の臨床データを用いて、Subtle Medicalが開発したAIアルゴリズムのロバスト性、臨床的価値、経済効果を実証した。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにより、多くの医療機関で画像解析が必要となり、医用画像へのAI導入の重要性がクローズアップされた。

Subtle Medicalが提供する安全かつフレキシブルな医用画像サービスは、至るところで需要が拡大しており、このラウンドで調達した資金は急速な市場拡大に充てられるだろう。

世界に広がるマーケット

Subtle Medicalのソフトウエアは、米国の外来患者用画像診断サービスプロバイダー「RadNet」やEUのAffideaなど、米国やEU域内の数十の医療機関で使用されており、MRやPET/CT検査の効率、品質、安全性を向上させている。

中国では、北京の天壇医院や上海の上海東方医院など一流Aクラスの総合病院と提携している。この提携には、臨床データによりAI画像解析のロバスト性・臨床的価値・経済効果の理論的基盤を確立すると同時に、製品の臨床リハーサルを行うという2つの側面がある。同社のソフトウエアは既に画像診断センターに配備されており、治験でディープラーニング(深層学習)アルゴリズムを訓練し 、製品の改良を進めている。Subtle Medicalは今後、同ソフトウエアを中国国内10余りの提携病院の画像診断センターにも導入してもらい、多施設治験を実施し、商品化準備を進めていくという。

このラウンドで調達した資金は、戦略的パートナーシップの拡大に充てられるほか、AIによる画像ノイズ除去・鮮明化で造影剤ガドリニウム投与量大幅減を可能にしたMRI検査用ソフトウエア「SubtleGAD™」、低侵襲外科治療へのAI画像解析導入、医薬研究開発へのAI画像解析導入などの研究開発にも充てられるという。

Subtle Medicalは「GEヘルスケア」「シーメンスヘルスケア」「東軟医療(Neusoft Medical)」など多くの医用画像機器や医薬品の開発メーカーと技術提携を行っている。最近では、緊密な関係の提携パートナーとして「フィリップス・ヘルスケア」の大中華区開発者大会に招待された。

利益モデルの現在と未来

同社はSaaS形式で製品を提供し、製品の使用状況により四半期または一年ごとに料金を請求するシステムを採用している。同社の料金徴収モデルは、病院の業務効率を向上させて病院の収益増加、コスト削減、効率改善を図り、病院は同社のサービスを長期継続使用する中で収益を継続的に蓄積できるというものだ。

また、OEM(他社ブランド製品の製造)での商品化も模索している。GEヘルスケア、シーメンスヘルスケア、東軟医療など多くのトップ画像機器メーカーと協力してAI技術を開発し、一般的なブランドの機器と互換性を持たせて汎用性を高め、販売対象を広げていく計画だ。

Subtle Medicalは、2017年にスタンフォード大学で設立された。設立メンバーは、スタンフォード大学、清華大学、ゼネラルエレクトリックなどの画像診断医、医用画像処理および人工知能の専門家である。(翻訳:永野倫子)


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