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市場調査会社の「艾瑞諮詢(iResearch Consulting Group)」がこのほど「2021年中国個人向けIoT産業研究白書」(以下「白書」と略称)を発表した。白書では「個人向けIoT」という区分を提唱している。その定義は「個人ユーザーを主な対象とし、個人が持つスマートデバイスを使い、特定のプロトコルで他の人、モノ、情報とつながり、個人の暮らしの快適さ、利便性を実現するためのスマートサービス」となっている。
個人向けIoTを新たな業種として提唱するに至ったのは、より多くのシーンでIoTデバイスを使うことが増えたためだ。白書によると、IoTデバイスは、当初は体調管理、フィットネスなど健康関連のシーンで主に使われており、形態はスマートフォン、タブレット、パソコンと限定的だったが、今やエンターテイメント、モビリティ、オフィス、インテリアに広がっており、複数のシーンが融合する事例も登場し始めた。
白書では技術力とユーザーにとっての魅力度という2つの基準から、個人向けIoT業界の主な企業を図のように分析している。
このなかで中心となるのが、スマートフォンの販売によって多数のユーザーを確保したファーウェイ、OPPO(オッポ)、シャオミ、アップルだ。白書ではこの4社をまとめて「HOMA」と呼ぶ。4社とも技術力とサービス力に優れ、個人向けIoTのリーディングカンパニーだと言える。
4社それぞれの特徴を見てみよう。ファーウェイは「1+8+N」(「1」はスマホ、「8」はPC、タブレット、テレビ、スピーカー、メガネ、腕時計、自動車、イヤホン。「N」はその他のIoTデバイス)という戦略が示すように、暮らしのあらゆるシーンをIoTで支えようとしており、さらにクラウドプラットフォーム、チップの開発も進めている。アップルはデバイスの種類を絞り、それぞれのユーザーが十分に増えるのを待ってから、ソフトとサービスを追加していき、排他的なエコシステムを作り上げていく。シャオミは自社のスマホを中心に、シャオミが出資する関連企業が開発する多種多様なIoTデバイスをフル活用し、絶えずサービスの範囲を広げ続けている。
上記3社と比べると、OPPOはIoTデバイスの開発を始めたのが2年前とやや遅れている。そのためか、上記3社の、商品の使用シーンを増やすことを重点とする戦略と比べ、OPPOは特定のシーンではなく、ユーザーが実際にどのような機能が必要なのかを研究し、細部にこだわった気配りのある製品を開発している。たとえば、OPPOのスマートテレビはスマホへの着信を検知すると、通話の妨げにならないよう自動的に音量を絞る。スマートウォッチはユーザーが眠ったことを検知すると、テレビなど音を出すデバイスの電源を消すなどの機能だ。そのかいあって、OPPOは2年間で先行する3社と並ぶ勢力に成長した。
このように、HOMA4社の戦略はそれぞれ異なるが、個人向けの製品である以上、最終的にはユーザー・エクスペリエンスの向上に焦点を当てることになるだろう。そのため、OPPOが取り組んだように、特定のシーンに限定されない使いやすさを磨く方向に4社とも進み始めている。それが、当面の間の個人向けIoT業界のトレンドとなるだろう。
(翻訳・小六)
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