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中国の消費傾向の変化に伴い、婚約指輪といった重要な場面では1カラット以上のダイヤモンドを選ぶ若者も増えてきた。しかしその値段の高さに二の足を踏む消費者がほとんどだろう。
昨年から続く新型コロナウイルス感染症の影響を受け、ダイヤモンド世界最大手のデビアス(De Beers)が今年初めに10年ぶりとなる大幅な値上げに踏み切ったと、ブルームバーグが報じた。オーダーメードジュエリーの販売スタッフの話しでは、現在のところハイグレードの天然ダイヤモンドルース1カラットの市場価格は5万~7万元(約81万~113万円)だという。
人工ダイヤモンドをメインに扱う中国のジュエリーブランド「LightMark(小白光)」は、1カラットのダイヤの指輪を1万9999元(約32万円)で販売している。1月24日に上海市静安区にあるショッピングモール大悦城(Joy City)に1号店をオープンさせ、今年はオンラインとオフラインを融合させたニューリテール分野で事業拡大を進めていくという。同社は新しい素材を活用し、エコロジーでコストパフォーマンスに優れた人工ダイヤ製品を提供して、若者たちにもっと自由にダイヤを楽しんでもらいたいと考えている。
「ラボ・グロウン・ダイヤモンド」とも呼ばれる人工ダイヤは特殊な技術や設備を使って人工的に生成されたダイヤモンドのことだ。天然ダイヤの代替品として多用されるキュービックジルコニアやモアッサナイトはダイヤとは化学組成が異なり、硬度も劣るため「模造ダイヤ」と呼ばれる。しかし人工ダイヤは天然ダイヤと同じく炭素原子からできており、硬度も変わらない。
LightMarkの共同創業者Tiger氏は次のような例えで説明する。「天然ダイヤが大自然の中でできた氷だとすると、人工ダイヤはいわば冷凍庫の中で作られた氷だ」
人工ダイヤの製造法には主に2つある。真空環境で炭素を含む気体を分解し、ダイヤの種結晶に炭素原子を付着させる「化学気相蒸着法(CVD)」と、天然ダイヤが地球内で形成される高温高圧下の状況を再現して結晶を生成する「高温高圧法(HPHT)」という方法で、同社は後者を採用しているという。CVDで生成したダイヤは不純物が少ないが、全体的にカラーグレードが低く、無色透明のものは多くない。一方HTHPの場合、自然の形成プロセスに近いため、天然ダイヤのような八面体に近く、カラーグレードも高い。
Tiger氏によれば、中国では結婚に関わる金銭的負担が大きく、家を買ったり披露宴の準備をしたりすると、結婚指輪に回せる予算はあまり残らないという。加えて若い世代はコストパフォーマンスを重視し、斬新なものを受け入れる柔軟性にも長けている。このためLightMarkは若者をターゲットに、コストパフォーマンスに優れた1カラットの結婚指輪をリリースした。人工ダイヤを使ったこの主力商品はFカラー、クラリティグレードSI相当でわずか1万9999元と、同等グレードの天然ダイヤの5分の1の価格を実現した。
デザインに関しても、これまでの常識にとらわれない多彩なカットを模索している。現在、ブライダルリングは20種類近くをそろえている。世界の著名デザイナーやアーティストともコラボして日常使いできるアクセサリーをリリースし、個性を求める若者のニーズを原点にカテゴリを拡充してリピート率を高めている。
上海の第1号店も趣向を凝らしたものになっている。一般的なジュエリーショップとは異なり、オープンなショーケースやVR体験を導入して、商品購入だけではなくテクノロジーがもたらすロマンを体験できるようになっており、差別化が図られている。
人工ダイヤは米国などではすでに十分な成長を遂げており、市場は急拡大期に入っている。2018年にデビアスは人工ダイヤ専門ブランドLightboxを立ち上げ、2020年11月には人工ダイヤの生産能力が10倍以上にもなる新工場を建設することが報じられた。
アントワープ・ワールド・ダイヤモンド・センター(AWDC)によれば、人工ダイヤの市場規模は毎年20%の増加をキープしているという。中国では人工ダイヤについて聞いたことがない人も多く、ようやく消費者に認知され始めた段階だ。この真っさらな市場は新しいブランドにとって大きな成長のチャンスとなるだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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