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中国発のファストファッションブランド「SHEIN」が米国で大人気だ。
南京市に拠点を置くこのブランドは、米国の若者が好むECサイトのランキングでアマゾンに次ぐ第2位となった。低価格でデザイン性の高い商品が消費者に人気なのは万国共通だ。
SHEINの進出により、アパレル業界のライバル企業たちは限界ギリギリの価格で勝負せざるを得なくなった。その頃からSHEINのデザイン盗作や品質を疑問視する声が上がり、現在もやむことなく続いているがSHEINは段階的に勝利をつかんできた。この先の新たな局面において中国独自のブランドやECモデルを確立することも不可能ではないだろう。
DTCブランドとして海外で勝負
若者たちがSHEINに愛着を感じている今の状況は、消費者と直接対話できるDTC(Direct-to-Consumer:メーカー直販)ブランドの急成長期と捉えることができる。
SHEINは大都市でもない南京で誕生したことに加え、創業者のChris Xu氏はインタビュー嫌い、広報部もいまだ表舞台に姿を現していない。多くの謎に包まれた同社に対しては、常に外部から疑問の声が上がっている。
中国内のメディアが詳細をつかめていないのと同様、外国メディアもSHEINについては「ミステリアス」という表現を繰り返し用いている。しかし、若者たちはむしろこの状況を楽しんでいるようだ。
「ミステリアスでマイナーなほうが、ずっとかっこいい」と語るのはロサンゼルス出身の23歳の青年だ。彼が初めてSHEINのことを知ったのはYouTubeの動画だったという。
2020年に「SHEINは詐欺サイトか」「SHEINは大丈夫か」といったタイトルの動画が数多くYouTubeにアップされ、再生回数は膨大な量に上った。視聴した若者たちは同ブランドの熱心なファンであり、ブランドPRを担う一般消費者でもある。背景にはSHEINが進める一般消費者によるPR戦略があり、これにより顧客層内部の結びつきもいっそう強まっている。
小売専門のニュースサイトRetailWireの報道によれば、SHEINはコストのかかるKOL(キーオピニオンリーダー)ではなく、小規模でも消費者目線で大きな影響力を持つKOC(キーオピニオンカスタマー)を起用してプロモーションを行っているという。これらKOCはInstagramやYouTube、TikTokなどの投稿で商品を紹介し、SHEINは見返りとして毎月無料の商品を提供するほか、売上に貢献した場合は10~20%のコミッションが支払われるケースもあるという。
トラフィック分析を見ると、個人ブログなど他サイトからのセッションを指す「リファラル(Referral)」が多く、この手法が確かに効果的であることを示している。IT企業SimilarWebが集計したSHEIN米国サイトの2020年1月から3月のトラフィックソースによれば、当然ながら最も割合が高かったのは広告だが、他サイトからのリンクを踏んだリファラルが19.41%あり、自然検索が11.08%だった。
この点から見ても、SHEINが海外進出の際にアマゾンを回避し、独立した自社サイトを立ち上げた決定が正しかったことが実証されている。
SHEINは設立初期からブランドの持つパワーに気づいていた。そしてこのブランドを喜んで支持してくれる若い消費者層を見つけ、相互の交流を通じて緊密な関係を築いてきた。
歴史的背景の違いから、高級ブランドやファッションに関しては中国と欧米諸国で大きな開きがある。とはいえ歴史の新たな転換点で、中国ブランドには勝ち目がないというわけではない。まず重要なのは、自身に最もふさわしい消費者層を見つけ出すことだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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