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3月17日夜、中国の共同購入型EC大手「拼多多(Pinduoduo)」が米国株式取引開始前に2020年第4四半期(10~12月)及び通年の決算報告を発表した。
それによると、拼多多第4四半期の売上高は前年同期比146%増の265億5000万元(約4400億円)で、192億8700万元(約3200億円)という市場予測を大きく上回った。通年の売上高は前年比97%増の594億9190万元(約9900億円)。主にオンラインマーケティング技術サービス収入の成長と、新しく増やした商品の売上が増収に寄与した。
non-GAAP(非米国会計基準)ベースで、普通株主に帰属する純損失は第4四半期では1億8450万元(約30億8000万円)となり、昨年同期の8億1500万元(約136億円)から77%縮小した。通年では29億6500万元(約495億円)となり前年比30%の縮小となった。第3四半期(7~9月)に初めて単四半期での黒字を実現したのち、再び赤字に転換した主な原因としては「コミュニティ型共同購入サービス」の競争が日増しに白熱している中で、第4四半期に倉庫、物流及び農産物の仕入れに新たに巨額の資金を投入したことが挙げられる。コミュニティ型共同購入事業は今なお赤字覚悟で成長を続けている段階であり、粗利益率は低く、損失も予想を上回る結果となった。
第4四半期のマーケティング・広告費用は147億1000万元(約2450億円)であり、総売上高の55.4%を占めたが、前年同期の161億8000万元(約2700億円)からは9%の減少となっている。第4四半期の研究開発費用には前年同期比78%増の68億9200万元(約1150億円)を投入している。
2020年通年のGMVは1兆6676億元(約27兆8500億円)で、2019年の1兆66億元(約16兆8100億円)から66%増となった。その成長率は業界平均の6倍となっているが、それでも予想には及ばなかった。新型コロナウイルスの流行を受けて、農産物や農業副産物がもっとも成長したカテゴリとなった。2020年、拼多多の農産物・農業副産物の取引額は2700億元(約4兆5000億円)に達し、2019年から倍増した。通年の取引額のうち16.2%を占め、その割合は業界平均の約3%を大きく上回っている。農産物取り扱う中国最大のプラットフォームとして、拼多多が直接取引をしている農業生産者は1200万人を超える。
2020年末時点で拼多多の年間利用者数は前年比35%増の7億8840万人と初めてアリババの7億7900万人を超えた。第4四半期だけを見ても新規利用者数は5710万人の純増。利用者の年間消費額は前年比23%増の平均2115.2元(約3万5000円)に達した。月間モバイルユーザー数は前年同期比50%増の7億1990万人だった。
モバイル・インターネット調査会社の「QuestMobile」によると、全国の消費者のために春節期間中も休まず営業を続けたことにより、同社のデイリーアクティブユーザー(DAU)は初めて業界1位となった。同期間中、拼多多の1人あたりの平均利用時間は前年同期比25.9%増加。DAUが1億人を超えているアプリの中では成長率が最も速く、ユーザーの定着率も急速に成長を続けている。
決算報告発表と同時に、拼多多の創業者でもある黄崢(Colin Huang)董事長は2021年度の株主に宛てた手紙の中で、董事長の辞任と、共同創業者で現CEOの陳磊氏が後を受け継いで董事長を兼任することを発表した。董事長を辞した後は食品化学と生命科学の研究に尽力したいとも明かしている。今後、董事長など拼多多の役員に再任することはなく、黄氏の特別議決権は失効する。同氏が所有する株式は拼多多の董事会で投票形式においてその処理方法が決まるという。個人名義の株式について今後3年は手放さないとしている。
決算報告発表後から本記事の執筆時までに、拼多多の株価は時間外取引で5%下落。第4四半期のGMV(流通取引総額)が予想に届かなかったこと、黄氏の辞任がその原因と見られる。
(翻訳・山口幸子)
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