パソコンの単純作業をロボットに、中国RPA開発の「分叉智能」が数十億円の資金調達

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RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション、事業プロセス自動化技術の一種)を手掛ける「分叉智能(winrobot360.com)」がプレシリーズAとシリーズAで計数千万ドル(数十億円)の資金調達を行ったことがわかった。

プレシリーズAのリード・インベスターは「紅点中国(Redpoint China Ventures)」、コ・インベスターは「金沙江創投(GSR Ventures)」。シリーズAのリードインベスターは高瓴資本(Hillhouse Capital、ヒルハウス・キャピタル)傘下の「高瓴創投(GLVentures)」、コ・インベスターは「紀源資本(GGV Capital)」で、紅点中国、金沙江創投、「盈動資本(In Capital)」も出資した。

分叉智能の主力製品は「影刀(ShadowBot)」といい、人間の代わりにマウス操作、キーボード入力、画面情報の読み取りなどパソコンを使った単純作業を行うものである。現在の主な顧客はEC業界に集中している。

影刀の作業フロー作成例

商品の購入者に購入額に応じたクーポンを付与する操作を例に、影刀の導入効果を見てみよう。人間が操作する場合、すべての注文金額を確認する煩雑な作業が必要となり、ミスが起きやすい。影刀を使えば、予め設定された指令通りに購入者に連絡を取り、注文を自動で検索しクーポンを付与することが可能だ。店舗ページに新商品を登録する際も、人間ならECプラットフォームのフォーマット通りに情報を逐一入力しなければならないが、影刀はこの入力作業をすべて自動で行い、100%の正確性を保証できる。

2020年のダブルイレブン(毎年11月11日前後に行われるECセールイベント)の期間中に、数千社の計数万台の設備に影刀が導入され、累計100万時間以上に相当する作業を行い、約100万人日を節約することに成功した。

分叉智能の金礼剣CEOによると、EC向けのRPAを開発したのは、この業界の企業のパブリッククラウドサービスに対する認知度が高く、有料サービスへの抵抗感が低いためだ。影刀は操作データやエラーデータを記録するが、販売データを一切記録しないことも歓迎されている要因の一つだ。RPAの導入は、EC以外では金融業で進んでおり、分叉智能も金融ソフトウェア開発の「恒生電子(Hundsun Technologies)」と提携し、金融業向けのRPA開発を行っている。

中国国内のRPA新興企業にはほかにも「雲拡科技(ENCOO)」、「桟略数拠(Leapstack)」などがある。競合他社との違いでは、金CEOは影刀の使いやすさを強調した。他社のRPAは特定企業向けにカスタマイズしたものが多いが、影刀は汎用性が高く、専門知識がなくても作業フローをユーザーが自分で作成することが可能だ。使いやすさをさらに強化するため、2021年の分叉智能は目標を売上高ではなく、利用者数増加に置いた。現在開発中の影刀の新バージョンも使いやすさに着眼したものだ。金氏は利用者を十分に獲得した後にRPAコミュニティを立ち上げ、利用者間でRPA作業フローを有料または無料で共有できるようにしたいとしている。

分叉智能に出資した高瓴創投の執行役員の肖永強氏は次のような見解を示した。「RPAの応用が各業界で広がっており、なかでもECが特にRPAの導入に適している。分叉智能はこの分野で10年近くのノウハウを持ち、EC顧客のニーズを熟知しているため、使いやすさにこだわる判断をした。」また、紀源資本のパートナーである徐炳東氏は、「EC事業者向けサービスは大きな成長が期待できる。EC事業者はSaaSによるコスト抑制に前向きで、意思決定が早く、導入の効果を客観的に判断できるためだ」と話している。

(翻訳・小六)

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