イーロン・マスクのNeuralinkに肩並べる精度、中国BMI技術の「NeuraMatrix」が数億円調達

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ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)開発を手掛ける中国の「NeuraMatrix」がプレシリーズAで数百万ドル(数億円)を調達した。以前にも「華創資本 (China Growth Capital)」「真格基金(Zhen Fund)」「奇績創壇(MiraclePlus)」といった金融機関やエンジェル投資家の姚頌氏からも資金を調達。今回の調達資金は主に既存システム製品の量産と販売、新製品の開発、人材の採用に充てられる。

同社は中国の清華大学がインキュベートして2019年11月に設立された。中国における同業の「BrainCo」や「脳陸科技(Naolu Technology)」のような非侵襲型ではなく、侵襲型技術を採用し、チップ、システム化された機器、ソフトウェアとハードウェアが一体化された次世代BMIプラットフォームの開発に取り組むほか、医療や科学研究などに特化したソリューションを提供している。

設立から1年半ほどしか経っていないが、同社のメンバーは2010年に独マックス・プランク研究所やペンシルバニア大学と学術研究を開始するなどBMI技術に関する豊富な経験を有し、現在は研究開発者と製品エンジニアを中心に約50名で構成されている。

同社はすでに北京清華長庚病院、首都医科大学三博脳科医院、北京天壇医院と神経疾患治療補助機器プログラムで提携する意向をまとめた。

BMI技術に関してはここ数年、米テスラ(Tesla)創業者イーロン・マスク氏の「Neuralink」や米フェイスブックなどの海外企業が継続的にニュースを発信し、注目度が高まっている。

NeuraMatrixは製品の信号収集精度においてNeuralinkに肩を並べるだけでなく、製品システムの消費電力を一桁削減し、サイズも大幅に縮小できると説明した。また、同社のワイヤレスデータ送信はBluetoothではなく医療用周波数帯を使うため、製品が収集する脳波データの送信量が多くなる上に医療機器とシームレスにつながるという。

NeuraMatrixの製品

同社製のBMIチップは近く発売される見通しだ。同社は改良を通じてチップの電力消費量を大幅に削減し、バッテリーと製品のサイズを縮小することに成功。また、チップを搭載した科学研究システム製品も試作および研究所での実用化を終え、今年下半期の量産と出荷が見込まれている。

市場調査会社の最新データでは、2019年に12億ドル(約1300億円)だった世界のBMI市場規模は年平均成長率(CAGR)12.4%で成長し、2026年には27億ドル(約3000億円)に達する見込みで、うち北米の割合は世界最大の60%以上になると予測されている。中国も「第13次5カ年計画」に主要科学技術プロジェクトとして「脳科学研究計画」を盛り込んでおり、巨大市場となる可能性を秘めている。

人の脳に関する数多くの研究では、てんかん、記憶喪失、うつ病などの疾患に対する理解を深め、より効果的な治療法を見つけるために脳波信号の収集と処理が必要とされている。しかし、ほとんどの脳波研究機器は依然として旧式のままで、精度に欠ける上にワイヤレスでないため、微細な脳波信号に影響を及ぼしやすいという問題がある。

同社によると、いずれの疾患でも機器の交換は数十億ドル(数千億円)規模の市場が見込まれ、非常に将来性があるという。例えばてんかんの場合、医師は患者の脳波信号を観察して発症を予測するだけでなく、治療のために電気的刺激を与えることもあり、同社の「読み取りと入力」が可能な脳波信号インタラクション技術はそのニーズに応えることができる。

今後、機器の普及とデータの蓄積が進めば、同社は人と機器のインタラクション事例を増やし、BMI関連データの価値を高めることも可能となる。

同社の創業メンバーはBMI設計、生体材料、ハードウェアとソフトウェア業界において中国でトップクラスの専門家で構成されている。共同創業者の2人は長年にわたり移植可能な生体材料や集積回路の研究開発に従事し、様々な低ノイズ・低消費電力センサーインターフェースシステムの設計に取り組んできた。
(翻訳・神戸三四郎)

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