ファーウェイ、「もっとも辛い2020年」を生き延びた 次の一手は(上)

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ファーウェイ、もっとも辛い2020年を生き延びた、次の一手は(上)

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中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術)は先月31日、2020年度の業績を発表した。成長率はやや鈍ったものの、業績は概ね予想通りの結果となり、年間売上高は前年比3.8%増の8914億元(約15兆円)で、純利益は同3.2%増の646億元(約1兆900億円)だった。営業キャッシュフローは前年比61.5%減の352億元(約5900億円)となっている。

同社のケン・フー(胡厚崑)輪番会長は昨年の業績を「及第点」と評価し、「全体的にみて我々の業績は予想通りで、経営状態は比較的安定しているといえる」と述べた。

ファーウェイのキャッシュフローは過去数年にわたって流入が流出を上回っており、ピーク時の2017年は963億元(約1兆6200億円)だったが、昨年から目減りが続いている。これについてフー輪番会長は、R&Dへの投入が増えたこと、材料在庫でも多額の支出があったことが理由だと説明し、中でもR&Dに割いた資金の占める割合が例年より増したと明かした。

エリック・シュー(徐直軍)輪番会長(当時)は前年の業績報告会で、「2020年はファーウェイにとって最もつらい1年になる」と述べ、社を挙げての目標は「生き延びること」としている。

結果、ファーウェイはその2020年を生き延びた。3年ぶりに業績報告会の進行役となったフー輪番会長は「2020年は特殊な1年だった。2021年はチャンスとチャレンジが共存する1年になる」としている。

生き残りをかけたIoT事業

ファーウェイの現在の基幹事業は、コンシューマー向け端末事業、通信事業者向けネットワーク事業、法人向けICTソリューション事業、クラウド&AI事業の4つで、クラウド&AI事業は新たに設立された事業グループだ。

これまではスマートフォンを主力製品とするコンシューマー向け端末事業が売上高の半分以上となる54.2%を占めていた。しかし、米国からの輸出規制によりチップの供給が滞り、スマートフォンの売上高は下降に転じている。さらに「中国2位、世界4位」の目標を掲げていたスマートフォンのサブブランド「Honor」も、チップ問題の煽りを受けてスピンアウトを余儀なくされた。ファーウェイのコンシューマー向け端末事業は岐路に立たされている。

ファーウェイから分離した低価格スマホ「Honor」、新機種が高級路線へ変更

1月末、IT専門調査会社のIDCが公開したデータによると、2020年第4四半期のスマートフォン出荷台数でファーウェイは世界5位に転落。アップル、サムスン、シャオミ、OPPOに敗北を喫し、出荷台数は3200万台にとどまった。しかし、予想外の結果にひるむことなく、今年も予定通りにフラッグシップ機種を数種発表するという。

不振のスマートフォン事業に替わり、コンシューマー向け端末事業はIoT事業に生き残りをかけるようだ。

2019年に同事業部が発表した「1+8+N」戦略により、エンドユーザーをめぐるエコシステムの確立を目指す。「1+8+N」の「1」はスマートフォン、「8」はパソコン、テレビ、ウェアラブル端末など8つのハードウェア、「N」はファーウェイエコシステムのパートナーによる製品を指しており、「8+N」に相当する部分がIoT事業だ。スマートフォン事業を縮小すると同時に「8+N」の存在感が増しており、昨年は「8+N」事業が65%も成長、スマートフォン事業の低迷分を相殺しているという。

フー輪番会長は次の一手として、スマートフォンに搭載する独自OS「Harmony OS(鴻蒙OS)」を強く打ち出していくとした。また、コンシューマー向け端末事業全体の戦略としては「ユーザー中心」「エクスペリエンス中心」との方針を示した。スマートオフィス、フィットネス&ヘルス、スマートホーム、スマートモビリティ、エンターテイメントの五大シナリオで消費者にスマートライフ体験を提供していくという。

後編:最速成長を遂げるクラウド事業
(翻訳・愛玉)

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