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中国の高級アイスクリームブランド「鍾薛高(Chicecream)」が、シリーズAで2億元(約34億円)を調達したことがわかった。出資を主導したのは「元生資本(Genesis Capital)」で、「H Capital」「万物資本(Zoo Capital)」も参加した。
鍾薛高は2018年にも「真格基金(Zhen Fund)」「峰瑞資本(Frees Fund)」が参加したエンジェルラウンド、「天図資本(Tiantu Capital)」「頭頭是道(Toutoushidao Capital)」が参加したプレシリーズAで資金を調達している。そして資金を獲得するごとに事業を急成長させてきた。
鍾薛高が中国最大手のECプラットフォーム「天猫(Tmall)」に出店する旗艦店は昨年、年間最大のネット通販セール「ダブルイレブン(双十一)」で氷菓類の売上高1位となった。同旗艦店には180万人以上のフォロワーがつき、2020年通年で3400万本のアイスバーを出荷した。
2018年に上海で設立された鍾薛高は、中国で近年トレンドとなっている「国貨(国産商品。デザインなどに中国風を打ち出した商品)」ブランドだ。伝統建築に用いられる瓦を模したアイスバーは氷菓市場にたちまち定着し、現在では他社とのコラボ商品を含む複数の商品シリーズを展開する。
アイスクリームは乳製品の一カテゴリとして数えられ、これまではスーパーマーケットやコンビニなど実店舗で販売されるものが主流だった。中国の調査会社「観研天下(PROSEARCH.ORG)」の予想では、2020年の中国のアイスクリーム市場は1500億元(約2兆5500億円)規模。すでに新旧多くのブランドが入り乱れる飽和市場であり、中国の乳製品大手「蒙牛乳業(Mengniu Dairy)」「伊利集団(Yili Group)」「三元食品(Sanyuan Foods)」、ネスレやユニリーバなどの外資系に加え、低温物流の限界により地域限定で流通するご当地ブランドも各地に散らばる。
氷菓の流通に変化が現れたのは近年のことだ。前出の天猫をはじめ、「京東(JD.com)」「拼多多(Pinduoduo)」に代表される大手ECプラットフォームが新たな販路として加わり、新興ブランドが生まれる契機となった。鍾薛高は天猫に参入した最初のダブルイレブンで氷菓カテゴリーのトップに立ち、オンラインで複数の販路を開拓していった。さらには実店舗やポップアップストアを開店しオフラインにも進出。上海、杭州、成都などに20以上の店舗を抱え、国内100以上の都市のスーパーやコンビニでも取り扱いされている。
中国では一般的なアイスバーの価格は2〜8元(約35〜140円)だが、鍾薛高の商品は13〜18元(約220〜300円)と高級路線だ。2018年には66元(約1100円)の値をつける商品を販売し、「アイスクリーム界のエルメス」として話題になったこともある。
同社のアイスバーは世界各地のフレーバーを多様に表現した新鮮な味わいで、ミルクやチョコレート、抹茶、レーズン、チーズ、シーソルト、ジャスミンティーなどの風味が揃う。そのほか、伝統的な蒸留酒「瀘州老窖」や大手飲料メーカー「娃哈哈(Wahaha)」などとのコラボ商品も展開する。今年4月には、さまざまなドライフルーツやナッツをあしらったゴージャスなアイスケーキのシリーズも発表している。氷菓以外にも手を広げ、昨年には高級水餃子ブランドをスタートした。
(翻訳・愛玉)
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