中国新興、ホテルに配送ロボットを派遣 人件費削減期待に1000カ所で導入

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人件費の高騰、人手不足が深刻化する中国で、重複業務や低付加価値業務、危険を伴う業務などがロボットに代替されつつある。ホテルも例外ではない。ロボットの技術向上が進むにつれ、ホテルでのサービスを担うロボットが資本家や起業家からより注目されるようになっている。

2019年に設立された「景吾智能」は、主にホテル向けロボットの開発を手がける。そのマネジメント、研究開発を行うチームはかつて上場企業でロボット事業に従事し、17年のロボット開発経験を有する。

同社は以下のような強みを持つ。

第1に、研究開発チームが長年の研究からロボットの中核部品の自主開発・自主製造に成功している点だ。知的財産権を保有し、システム接続と業務拡大がしやすい。ロボット業界のエコシステムを支えるクラウドプラットフォーム、バックエンドの運営チームも作り上げている。

第2に、大量の制御アルゴリズムを有する点だ。特にデリバリーに関して走行経路などを計算するアルゴリズムの正確性は99.8%に達している。また、複数の型のロボットとホテル内にあるさまざまな設備がクラウドプラットフォームを通じて連携可能だ。さらに、同社のロボットはさまざまなサービスをモジュール形式で展開しているため、アップデートや新機能の開発が継続できる。

同社が現在、主に手がけているのはホテルのデリバリーロボットだ。ホテルの利用客がフードデリバリーサービスで注文した料理や郵便物、アメニティを届ける。また、ロボットは室内の収納スペースや電話、スマートスピーカーなどの設備と連携している。このほか、ガイド機能も標準機能として備わっている。さらには、警備、プライバシー保護、体温測定といったカスタマイズモジュールも追加搭載できる。ロボットは1日あたり70~80件のデリバリーが可能だ。中国大手ホテルチェーンの「如家商旅酒店(Home Inn Selected)」が試験的にロボットを導入した際のデータからは、ロボット1台の業務量はホテルスタッフ1人と、警備員1人分に相当し、人件費を月あたり9000元(約16万円)削減できることがわかった。物品販売機能を追加すれば、月あたり1500元(約2万6000円)の増収となる。

同社の創設者である郭震氏は、「当社の主な収益源は各大手ホテルに導入したロボットの派遣収入と、毎年の付加価値サービス収入だ。すでに大手ホテルチェーンの「如家集団(Home Inn)」、「錦江酒店(WeHotel)」、「東呈国際(DOSSEN)」などと戦略的協力関係にあり、1000カ所近くのホテルに製品を導入済み。2021年には3500カ所まで導入先を拡大させ、収入規模も1億元(約17億円)を超えると見込んでいる。

今後の計画について、同氏は「『コストカットと効率性アップ』を理念とし、不動産管理、飲食、医療などの分野に参入し、市場シェアを拡大させたい」と話している。

同氏は、「ホテルロボットの分野における競争で重要なのは開発力とセールス力」と語る。経験豊富な開発チームによるデリバリーロボットの優良化、アップデートは現在進行中だ。今年中には別のタイプのホテルロボットをリリースする予定だという。また、同社の営業チームはホテル業界出身者で形成されており、業界について熟知している強みがある。同社の販売台数は今年前半だけで、業界老舗企業が5年間かけて達成した数字に並んだという。

郭氏は長江商学院でEMBAを取得後、上場企業の執行総裁を務め、次々とロボット分野の企業立ち上げに関わってきた経歴を持つ。

IFR(国際ロボット連盟)の発表したデータでは、2019年中国のサービスロボット市場規模は22億ドル(約2400億円)に達し、世界で25%のシェアを占めるに至ったという。中国電子学会(CIE)は同シェアは将来30%に達すると見込んでいる。IFRが公表したレポート「World Robotics 2020 Industrial Robots」では、世界のサービスロボット市場規模は2023年に277億ドル(約3兆円)に達し、年平均成長率は26%になると予測している。中国の同市場は2023年までに80億ドル(約8800億円)まで達すると見込まれており、今後も競争が激しくなると予想される。
(翻訳:Qiunai)

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