多様化するアパレル需要にAIで応える、SBチャイナが「飛榴科技」に出資

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多様化し、小刻みに変化するファッション需要にAIで応える「飛榴科技」 SBチャイナも出資

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AIを活用したアパレルのサプライチェーン管理を手がける「飛榴科技(Feiliu Technology)」が、今年に入ってシリーズA1およびA2で合計2億元(約34億円)を調達したことがわかった。シリーズA1のリードインベスターは紀源資本(GGV Capital)とバイトダンス(字節跳動)。シリーズA2のリードインベスターは高瓴創投(GL Ventures)で、コ・インベスターは双湖資本(Wu Capital)、渶策資本(INCE Capital)、紀源資本、バイトダンス、ソフトバンク・チャイナ・ベンチャーキャピタル(SBCVC)で、山景資本(Mountain View Capital)がアドバイザーを担当した。

2016年に設立された飛榴科技は、アパレル産業における見積もり・購買から製造までのプロセスをプラットフォーム化するソリューションを構築し、中国の縫製工場が「小単快反(小ロット・短納期生産)」のオーダーに対応できるよう支援する。アパレルブランドが発注すると、必要な作業工程や作業時間が分割され、キャパシティの符合する縫製工場へ割り振られる。受注サイドでは作業工程や生産計画、生産方式が最適化され、受注5日でサンプル製作、7日で生産、売り切れ後も3日で再生産が可能になる。これにより生産する製品の切り替え効率は最低でも30%改善されるという。

飛榴科技のサービスはアパレル製品全般に対応しており、小ロット・短納期生産を実現できるSaaSや、S2B2C(サプライヤーから中小企業・インフルエンサーを経由し個人客に届く)型サプライチェーンサービスを中国国内の数千社に提供している。顧客にはアディダスやナイキなどの世界的メーカーのほか、アパレル通販サイト「SheIn」なども名を連ねる。

レディース製品を手がける割合が80%に上る。レディース製品はバリエーションが豊富で、小ロット・短納期生産への需要も多いからだ。現在トレンドとなっているライブコマースにも積極的に取り組んでいる。小ロット生産・短納期の需要に符合するビジネスモデルだからだ。

現段階では提携するメーカー、デザイナー、ブランド、ライバー(ライブコマースで商品を売る人)から、一定比率でサービス費用やSaaS利用費を徴収している。飛榴科技の今年の売上高は前年の10倍となる見込みだ。

アパレル市場は年間生産高4兆元(約68兆8000億円)の巨大市場であり、中でも小売市場は2兆2000億元(約37兆9000億円)規模で、現在も約4%のペースで成長を続けている。縫製市場は約1兆元(約17兆2000億円)規模で、小ロット・短納期生産の浸透率は26%となっている。市場全体の成長ポテンシャルが高く、中国ではアリババや京東(JD.com)、拼多多(Pinduoduo)などのEC大手から飛榴科技のようなベンチャーに至るまで、多くのプレイヤーが関連事業に着手している。

飛榴科技の創業者・費翔氏は、起業を決めたきっかけが中国アパレル業界のペインポイントについて洞察を深めたことだったと述べる。新商品の発売サイクルに対する消費者の要求が高まり続ける中、小ロット・短納期生産はすでに恒常的需要となりつつある。メーカー側ではコロナ禍もあいまって余剰生産力を消化する必要も出てきた。

費氏を含む開発チームが海外で積んだ経験やノウハウかを活かしたSaaS製品が中国国内のアパレルメーカーに提供されると、受注から出荷までの全プロセスがAIで制御され、製造効率は上がり、コストも削減できるようになる。マウンテンパーカーなど製造工程が複雑な製品の場合、製造効率は60%も向上するという。工場の従業員にとっても飛榴科技のSaaSは操作を学びやすく、導入も3〜5日で完了できる。

費氏は米IBMのトーマス・J・ワトソン研究所でシニア研究員として務め、サプライチェーン・マネジメントを17年間研究してきた。AIやビッグデータの専門家でもあり、これまでにファストファッションブランドZARA、カジュアルファッションブランドJ.CREW、アウトドア用品ブランドTHE NORTH FACEなどにサービスを提供している。

飛榴科技は武漢、広州、杭州など中国の60都市に研究開発(R&D)およびマーケティングセンターを設け、1000以上ものクラウド化工場と提携している。
(翻訳・愛玉)

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