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AIによる医用画像診断システムの研究開発を行う「数坤科技(Shukun Technology)」が7月末に7億元(約120億円)を調達したことがわかった。出資したのはゴールドマン・サックス、春華資本(Primavera Capital)、セコイア・キャピタル・チャイナなど複数の投資機関だ。
数坤科技は医療分野のAI画像診断に注力している。従来は目視で行っていた画像診断にAIを取り入れることで医師の時間や労力を軽減し、誤診や見落としを減らす。CT、エコー、レントゲン、MRI、心臓カテーテル検査(CAG)、カラードップラー超音波診断などの画像は臨床診療でも重要で、診療情報の90%を占めるという。
昨年は業界にとって転換の年になったと言える。新型コロナウイルス流行後、AIを利用した診断技術の重要性がより際立つようになった。感染予防や診療のニーズが増えたことで病院のスマート化が加速されたためだ。中国国家薬品監督管理局(NMPA)も医用画像診断AIソフトウェアを第三類医療機器(中国で安全性審査がもっとも厳しいランクの医療機器)として相次いで承認、AI医療発展の追い風となった。収益モデルも徐々に明確になり、市場は急成長期に入っている。
業界が爆発的に成長する中、数坤科技は昨年10億元(約170億円)近い資金を調達しており、セコイア・キャピタルの他にも華蓋資本(Huagai Capital)、五源資本(5Y Capital)など多くの投資機関を引きつけていることは注目に値するだろう。
これまでは第三類医療機器の承認を受けるのは困難だった。そのために肺結節関連の医療機器を手掛けていた企業が相次いで倒産したこともある。数坤科技は高い技術力を誇り、同社が所有する医療機器の登録件数は業界でもトップだ。現時点で10数件もの登録証を有しており、心臓、脳、肺、腹部など主要部位の疾病に対応可能だ。
当局の承認という通行券をかざすことで投資家と政策双方からの後押しを得て、業界は爆発的な成長期を迎えている。数坤科技は今年上半期、1000軒以上の病院に自社製品を設置した。北京協和医院、上海瑞金医院など全国200位以内にランクインする公立の三級病院(中国の病院は等級別に分類されており、三級は最高レベル)を始め、地方の病院でも導入されている。
数坤科技は設立からわずか4年の間に心疾患の画像をAIで診断したりデータを採取したりできる診断支援システム「デジタル心臓」で躍進を果たし、脳や胸部、骨、腹部などの画像診断支援システム「デジタル人体」プラットフォームを構築。中でも冠動脈狭窄を診断するAI製品では初めて第三類医療機器の承認を受けている。同製品はその後MDR(欧州医療機器規制)のCEマークを取得。また同社のAIによる肺炎診断支援システムもCEマークを取得している。
今回調達した資金はデジタル人体プラットフォーム開発に充て、急性疾患と慢性疾患の大部分をカバーできるようにするという。また、AIを利用した診断支援と治療支援を行う製品ラインの開発を加速し、全国の病院がスマート化を進めるのに合わせ、同社製品の現場での実用化を加速したいとしている。
AI画像診断を手掛ける企業の上場ラッシュが始まろうとしている。すでに「鷹瞳科技(Airdoc Technology)」や「科亜方舟医療科技(Keya Medical)」が今年に入って相次いで上場を申請している。そのほか、「推想科技(Infervision)」が香港での上場を準備中だとの情報もある。上場計画に対し、数坤科技側はコメントを控えるとした。
(翻訳・山口幸子)
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