4億世帯を睨むスマートロック製造の「果加智能」、Cラウンドで1.5億元を調達

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4億世帯を睨むスマートロック製造の「果加智能」、Cラウンドで1.5億元を調達

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設立わずか5年で中国スマートロック市場の大手の一角となった「果加智能」が、Cラウンドで1億5000万元(約24億6000万円)を調達したことが36Krの取材で分かった。出資者は非公開。

同社はこれまで短期賃貸物件や宿泊施設を主な顧客としてきた。2016年に中国最大のオンライン旅行会社シートリップ(携程旅行網)から1億元規模の出資を受け、現在、C+ラウンドで数億元規模の調達を計画中だ。

2013年に設立された果加智能は、スマートロック市場ではすでに知名度のある存在だ。設立当初は法人向けを専門とし、単身者向けの短期賃貸物件や民泊、ホテルなどに製品と管理システムを提供してきた。これまでに累計100万組を売り上げ、2015年からは年300%のスピードで成長を遂げている。

全国鍵・錠製造業情報センターによる2017年の調べでは、市場全体の販売数もうなぎ上りだ。同年には前年の2倍に当たる700万組を売り上げ、2018年前半はすでに830万組を突破している。

市場が活況を呈する中、果加智能の今後の事業計画について段方華CEOに聞いた。

法人向け市場で3年内に1000万室を網羅

果加智能はこれまで短期賃貸物件や宿泊施設100万室、延べ6000万人にサービスを提供し、全国100都市で300社の法人顧客を抱えている。製品そのものに加え、遠隔操作が可能な管理システムも提供しているため、暗証番号の発行や有効期間の設定など管理業務が効率化され、顧客の運営コスト削減に貢献してきた。

果加智能は比較的早期に市場に参入したとはいえ、全国に7000万室あると言われる短期賃貸物件のうち、数百万室をカバーしたに過ぎない。市場にはまだ開拓の余地がある。また、民泊ではすでに50%ほどのシェアを占めているが、民泊は物件自体の母数がまだ少なく、これから年200%のペースで増加していくと見られる。近年、低価格帯ホテルチェーンが不振という背景もあり、民泊へのニーズは急激に伸びると考えられている。

商用物件以外に、一般賃貸住宅でも需要を掘り起こせる可能性は大きい。流動人口の増加に伴い、一般住宅でもセキュリティがより重視されるようになったことが理由だ。(名義上の)借家人と(実際の)入居者が違うケースも多く、本人認証機能を備えた施錠設備が求められている。すでに上海や重慶など数都市で果加智能のシステムが導入されている。

こうした法人向けの物件は、数億室規模の需要が見込まれている。

個人向け市場で2年内にシェア10%獲得

激しい競争とニーズの細分化が懸念される個人向け市場だが、果加智能は法人向け事業で築いたノウハウを応用できると考えている。

全国の4億世帯でスマートロックの普及率はわずか5%。一般住宅は、家電、IT、セキュリティ、通信などあらゆる業界が熱視線を注ぐ大きな市場だ。全国鍵・錠製造業情報センターによると、2018年6月末時点で、国内のスマートロック製造業者は1500社に上る。

段CEOが考える果加智能の強みは、年間100万組の生産能力をはじめ、各住宅設備の細かな違いに対応できる技術力、設置業者や修理業者との連携力、自社で運営するカスタマーサービスなどだ。

2017年にはスマートロックの価格は1組2000元以上が相場だったが、2018年に入って価格競争が激化し、現在では700元を下回る製品も見られるようになった。こうした現状について、段CEOは「何より安全と品質が第一」との姿勢を崩さない。安易な価格競争には乗らない考えだ。

果加智能は今回の資金調達で製品開発や個人向け市場開拓を進めていくほか、スマートロック以外のスマートホームデバイスの開発にも注力していく計画だ。
(翻訳・愛玉)

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