5G利用のMRゴーグル開発「Nreal」が110億円調達 KDDIとも提携

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5G利用のMRゴーグル開発「Nreal」が110億円調達 KDDIとも提携

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MR(複合現実)技術を手掛ける「Nreal」がシリーズCで1億ドル(約110億円)超を調達したことがわかった。新興EVメーカー「蔚来汽車(NIO)」傘下のファンド「蔚来資本(NIO Capital)」、「雲鋒基金(YF Capital)」、「洪泰基金(Aplus Capital)」がリード・インベスターを務め、「CPE源峰(CITIC Private Equity Funds Management)」と複数の戦略投資家がコ・インベスターとなった。「金浦創投(GP Capital)」「高瓴創投(GL Ventures)」、セコイア・キャピタル・チャイナも前回シリーズに引き続いて追加出資を行っている。

Nrealは過去1年間で総額1億5000万ドル(約165億円)超を調達している。有名投資機関のほか、ショート動画プラットフォーム「快手(Kuaishou)」や中国版Netflix(ネットフリックス)と呼ばれる動画配信プラットフォーム「愛奇芸(iQiyi)」などの大企業も出資してきた。

今年はAR・VR分野が盛り上がりを見せている。VR対応の米ゲームプラットフォームROBLOXが3月に上場。Facebook傘下のVR機器メーカーOculusも販売台数が激増しており、ザッカーバーグ氏はインターネット上の仮想空間「メタバース」について幾度も言及している。中国国内ではTikTokを運営するバイトダンス(字節跳動)が8月にVRヘッドセット開発の「Pico」を買収、資本市場の盛り上がりはピークに達した。

写真はNrealより

Nrealが注力しているのはハードウェアデバイスだ。メタバースというコンセプトがどんなに魅力的であっても、適切なハードウェアがなければただの絵空事になってしまう。スマートフォンは二次元的な操作のため限界がある。三次元でのインタラクションが可能なVR・ARゴーグルこそメタバースにふさわしい。

Nreal創業者の徐馳CEOは以前、現在のモバイルインターネットにおけるスマホの限界について言及したうえで、5G時代に現実世界とデジタル世界の融合を実現する「空間インターネット」の概念を打ち出し、消費者が新しい次元でのインタラクションを体験できるようになるとも話していた。「空間インターネットとメタバースはシームレスに繋がることができる。このエコシステムにはコンテンツでもSNSでもハードウエアキャリアが必要になる」

Nrealは各国の通信事業者やスマホメーカーと緊密に連携して5Gに対応した世界初の消費者向けMRゴーグルを商品化した。Nrealは現在、韓国LGグループ傘下の通信キャリア「LG U+(LGユープラス)」やKDDI、独通信大手のドイツテレコム、英通信大手ボーダフォンなどと提携している。韓国、日本、ドイツ、スペインでは通信事業者のECサイトや店舗でスマートグラス「Nreal Light」を購入することができ、通信事業者のデータプランとのセット価格で割引になるという。

Nrealは法人向け事業では、世界で8000を超えるアプリ開発者と提携しており、共に多くの業界向けソリューションを構築。工業、教育、旅行、医療など多くの業種に対応しており、MR技術を利用した省エネと効率向上、イノベーション体験を企業に提供する。

技術の蓄積もNrealがAR業界で持つ強みの一つだ。現在同社は完全自社開発の光学モジュールを有し、業界トップレベルの表示性能を実現。視野角は52度、解像度、コントラスト、色再現性、明度、ひずみの抑制などにおいても業界トップレベルだ。

Nrealは2018年、社内にクリーンルームを設置し量産の検証を開始。2019年に合肥市で小ロットの試験生産を始め、2020年3月には無錫市に光学生産本部を設置。今年に入ってから6000平方メートルの1期工場で量産を開始しており、来年には2万平方メートルの2期工場で100万台レベルの生産が可能となる予定だ。業界で唯一、自動生産ラインでMR光学モジュールを生産する企業となる。

蔚来資本パートナーの朱岩氏は以下のように述べた。「光学技術の成熟とデバイスの処理能力の飛躍的な向上に伴い、電子機器はまさに大きな成長を遂げようとしている。VRが各家庭で利用されるようになり、スマートライフの新しいデバイスとなることが期待される。我々はAR・VRゴーグルが自動車における様々なシーンで利用されると見ており、特に車内でのエンターテインメントには全く新しい可能性があると考えている。Nrealは創業時からユーザーの実際のニーズを把握し、海外でも大手の通信事業者やユーザーに支持されている。我々はNrealが業界のパイオニアとして、交通や都市のスマート化を加速してくれると期待している」

(翻訳・山口幸子)

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