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コロナ禍を受けて中国で一気に広がったオンライン医療が、収益源やビジネスモデルの転換を迫られている。発端となったのは、中国国家衛生健康委員会が10月26日に発表した「オンライン診療の監督管理細則(意見募集稿)について意見を広く募集することに関する公告(以下「意見募集稿」)」だ。
意見募集稿ではオンライン診療の経営を医薬品の売り上げに頼ること、AIが医師に代わって診察を行うことを禁止し、オンラインでの初診禁止は厳守すべきだとしている。
規制が厳しくなれば、医薬品販売に頼ってきたオンライン診療プラットフォームは試練の時を迎えるだろう。
オンライン診療に引かれたレッドライン
コロナの感染拡大でオンライン診療は爆発的に広がり、国家衛生健康委員会のデータによると今年6月時点で中国のオンライン病院は1600軒を超えた。
急成長の裏で、業界には多くの問題も存在している。例えば医薬品販売を主な収益源とするなか、監督管理体制が不十分であったためにオンライン診療プラットフォームではおそらく医薬品が過度に処方され、過剰医療が行われていた。
これらの問題に対し、今回の「意見募集稿」は医療機関、人員、業務、診療の質の安全などについて細かく規定した。
まず医療機関については、各省の関連部門でオンライン診療サービスの監督管理プラットフォームを構築し、管轄下のオンライン診療機関をリアルタイムで管理する。
次に人員管理については、医療人員を関連免許の取得者に限り、実名認証を行う。その他の人員やAIなどが医師本人になりすましたり、代わりに診療を行ったりすることを禁止する。
これまで多くのオンライン診療プラットフォームではAIがサービスの目玉として宣伝されてきた。大手の「平安好医生(Ping An Good Doctor)」では、AIが重症患者の見守り、適切な投薬管理、医療安全のモニタリング、問診などの診療補助を行ってきた。監督管理細則の正式発表後は、AIが医師に代わり診察することは禁止される。
このほか、医師の実名登録制度の導入により、プラットフォーム間で医師争奪が激化するだろう。「医療関係者が主たる就業場所以外のオンライン病院で診療を行う場合は、所在地で就業登録あるいは届け出を行う」とする規定により、現在一部の医師が複数の病院で診療を行っている状況は規制されるかもしれない。
最後に、「意見募集稿」は初診患者にオンライン診療を行ってはならないと改めて強調している。患者が診察を求める疾患に関してこれまでの診療履歴がわかるカルテがなければ医者は直ちにオンライン診療を停止し、患者に病院で対面診察を受けるよう勧めなければならないとしている。
「意見募集稿」は、オンラインプラットフォームでの医療の質の向上も求めている。患者の電子カルテの情報、診療中の写真やテキストを使った会話、音声や動画資料などをすべて記録してさかのぼることができるようにし、最低15年間保存することや、対面診療を行う医療機関がオンライン・対面診療の質を一括して管理するよう求めている。
現在のオンライン診療サービスプラットフォームの大部分は、独自に組織や診療業務のシステムを構築してきた。その売り上げを支えるのは医薬品販売だ。医療サービスからの収入が占める割合が低いまま監督管理の厳しい時代に入り、大手のオンライン診療は適切な収益モデルをいかに築くかという難しい課題に直面している。
原文:WeChat公式アカウント「雷達財経(ID:leidacj)」
(翻訳・二胡)
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