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窒化ガリウム(GaN)材料の開発と生産を行う「江蘇能華微電子(CorEnergy)」がこのほどシリーズCで数億元(数十億円)を調達したことが、36Krの取材で分かった。「中信証券投資(CITIC Securities Investment)」と「金石投資(Goldstone Investment)」傘下の製造業の新材料向けファンドが共同で出資を主導、資金は長江デルタ地区における2カ所目の工場建設に充てられる。
5G通信、ビッグデータ、IoTの成長に伴い半導体ニーズが高まり続けているが、シリコンに代表される第一世代の半導体材料はすでにデータ伝送能力の限界に達しつつある。
業界では徐々に第二、第三世代の半導体材料の活用が広がり、衛星通信やGPSナビゲーションなどの分野に利用されるようになっている。中でもワイドバンドギャップ半導体材料である窒化ガリウムは急速充電の分野ですでに広く用いられており、中国スマートフォンメーカーのシャオミやOPPOなどが採用している急速充電器にも窒化ガリウムが使われている。また5G向け高周波モジュールの材料としても巨大な市場を抱えている。
2010年創業の江蘇能華微電子は、窒化ガリウムを使ったエピタキシャルウエハー、パワーデバイス、高周波デバイスの独自開発に成功した中国で唯一の半導体企業であり、製品にはシリコン基板やシリコンカーバイド基板のGaNエピタキシャルウエハーのほか、窒化ガリウムを使った高電子移動度トランジスタ(HEMT)、急速充電パワーモジュールなどがある。
同社は60件余りの特許を取得しており、材料基板からチップ完成までの主要工程をカバーしている。「863計画(国家ハイテク計画)」など政府主導の研究開発プロジェクトに数多く参加しており、プロジェクトを通じて窒化ガリウム材料分野における独自の技術的な優位性を築いてきた。
現在、能華の研究開発チームには50人が在籍している。10人ほどのコアメンバーはいずれも海外留学経験者で、半導体の研究に10~20年従事しており、シリコンや窒化ガリウム、シリコンカーバイドなど半導体材料に関する豊富な経験を持つ。
能華は半導体の設計から販売まで全工程を自社で行う垂直統合型デバイスメーカー(IDM)だ。2013年に中国初となる窒化ガリウムのパイロットラインを設立し、運用開始から2年でシリコン、サファイア、シリコンカーバイドの基板上にGaN薄膜を成長させたエピタキシャルウエハーの開発と生産に成功した。2020年には自社開発のGaNパワーデバイスが本格的に急速充電器の分野で活用されるようになり、スマホブランド「Honor」やソニーなどに製品を供給してきた。目下、蘇州市張家港にある工場はフル稼働の状態で、第2工場が完成し操業を開始すれば1カ月に3万枚を出荷できるようになるという。
今後2年間の発展計画について、朱廷剛博士は次のように語る。「第2工場の建設を急ぐことに加え、急速充電を足がかりに窒化ガリウム分野での市場開拓を進め、5G基地局や新エネルギー車への活用を引き続き模索、検証していきたい」
今回の出資でリード・インベスターを務めた中信証券投資はこう述べている。「窒化ガリウムは最も有望なワイドバンドギャップ半導体材料であり、シリコン基板のソリューションよりも優れた選択肢を顧客に提供できる。能華のチームは材料のエピタキシャル成長、デバイス設計、ウエハー製造において豊富な経験を蓄えてきた。当社としては能華を支援して窒化ガリウムの産業活用を促進し、中国の技術的競争力のさらなる向上に貢献したい」
(翻訳・畠中裕子)
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