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中国では知的財産の寿命は短く、新たなキャラクターが生まれては消えていく。なぜ中国ではドラえもんやハローキティのようなスーパーキャラクターが生まれないのだろうか。中国のキャラクター・ビジネスが直面している問題について、映像制作会社「造夢盒子(ZaoMengHeZi)」のCEOで国民的キャラクター「張小盒(Zhang XiaoHe)」の作者、陳格雷(Grey Chan)氏に聞いた。
スーパーキャラクターとは、魂を揺さぶるもの
陳格雷氏によれば「キャラクターが広く受け入れられるためには、正しい価値観や、愛情や友情、夢などを人々の感情に訴えることに加え、潜在意識と集合的無意識に訴求することが必要だ」という。たとえば、ドラえもんは、誰もが幼少期に潜在的に欲していた「何でも解決できる助っ人」をキャラクター化したものであり、造夢盒子のキャラクター「鍵盤仔(Babykeys)」は集合的無意識を表現したものだという。
受け手の心をつかむだけでなく、人々の記憶に残るキャラクターであることも重要だ。張小盒の四角いキャラクターのような、シンボリックなものやストーリー性のあるものは記憶に残りやすい。
カテゴリを超えたブランド化
2006年に誕生した張小盒は「中国で最も有名なサラリーマン漫画のキャラクター」として大ヒット。シリーズ漫画は一千作品を超え、コカ・コーラやソニーなど数百社とライセンス契約した。しかし2016年の知財ブームで多くのキャラクターが登場すると、張小盒の人気や商業価値は低下した。そこで陳格雷氏は張小盒のブランド化を決断する。
キャラクターのブランド化で鍵なるのはファン経済だ。ファンには、好きなキャラクターの商品なら何でも買うという「コアファン」と、迷った時にキャラクターを決め手にする「ライトファン」がいる。陳格雷氏は、張小盒をライトファン向けのキャラクターとして売り出すと決めて、次の条件でカテゴリを絞り込んだ。
・少数のコアファンの目線ではなく、市場ニーズに沿って考えること。
・圧倒的なトップブランドがないカテゴリ。
・産地や原材料より、味やパッケージに注目されるカテゴリ。
陳格雷氏はドリンクスタンドと小袋ナッツに着目し、このカテゴリで重点的にブランド化を展開した。
張小盒は商品を販売するのではなく、提携先にキャラクターとデザインプランを提供して、収益を配分するレベニューシェア方式をとる。こうして、キャラクターの世界観や価値観を商品やデザインに反映させるのだ。
現在、ドリンクスタンド「張小盒・茶(Mr.Box)」は5店がオープンしている。予約金を払った加盟店は200店以上。小袋ナッツ「張小盒堅果」はオンライン・オフラインで販売している。今後は「人は誰でも箱の中で暮らしている」という張小盒のコンセプトに基づき、ホテルや民泊、ユースホステルといったライフスペース型ビジネスへの進出を目指す。
陳格雷氏は、規模は小さくても張小盒の価値観に共感する創業者をパートナーに選んでいる。今後は、張小盒の全パートナーとの間で、何らかの方法でリソースとユーザーを共有できるようにしていきたいとのことだ。
(翻訳・畠中裕子)
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