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アリババグループが2年半にわたって温めてきた近未来型ホテルがついに開業した。12月18日、本社所在地の杭州市「阿里巴巴西渓園区(Alibaba Xixi Park)」横に、「FlyZoo Hotel(菲住布渇)」がお目見えした。
宿泊料金は5つ星ホテル並の1399元(約2万3000円)からだという。
アリババのテクノロジーを随所に活かした最先端ホテル。ロビーにはフロントがなく、チェックインはスマートフォンアプリか、ロビーに設置された専用の機械で行う。
セキュリティには顔認証技術が導入され、客室、レストラン、ジム、エレベーターなどの出入りはすべて「顔パス」。また、客室内には電話がない。自社開発のAIスピーカー「天猫精霊(Tmall Genie)」が客のリクエストや問い合わせに対応してくれるからだ。照明、カーテン、エアコンなどの客室内設備もすべてIoT化されており、天猫精霊に口頭で指示すれば操作できる。
エレベーターはボタンを押さなくても宿泊階まで自動的に運んでくれる。また、客室から出るとエレベーターは先回りして動き出し、エレベーター前に着くころにはドアが開く。
ただし、これらの無人サービスのパフォーマンスは、まだ80点といったところだ。
さまざまな国のイメージをコンセプトにした客室も設けた。
韓国をテーマとした客室には最先端の人気コスメなど、それぞれの国に関連したアイテムが備えられており、実際に使用して気に入れば、アリババ傘下のECで購入もできるという仕掛けだ。ただ、その目的はECへの誘導だけにとどまらない。
アリババは、FlyZoo Hotelで完成させた運営モデルを、ホテル業界全体に売り込んでいく計画だ。この手法は、傘下の次世代スーパー「盒馬鮮生(Hema Fresh)」に似ている。
従来型のホテルと根本的に異なるのは、管理システムだ。FlyZoo Hotelを運営する「阿里未来酒店(Alibaba Future Hotel)」の王群CEOは、「国際的な5つ星ホテルでも管理システムは現地サーバーで運用しているが、FlyZoo Hotelはクラウドで管理している」と説明。
アリババクラウド(阿里雲)をベースに、ホテル業界最大の情報管理プロバイダー「石基信息技術(Shiji Information Technology)」が開発したシステムで、モバイル版タオバオ(淘宝)の技術チームが二次開発を行っている。
2017年6月からFlyZoo Hotelのプロジェクトに参画してきたフロントエンジニアの1人は、「専用アプリを開発する過程で、人によるサービスと自動化されたサービスでは、オペレーションに大きな違いがあることに気がついた」と話す。
実際に多くのホテルを訪問して、顧客のニーズやホテル事業の収益モデルなどを学んだという。アプリによる自動チェックイン機能はその過程で生み出されたものだ。チェックインの他、ホテル専用のアプリを操作すれば、ルームサービスなど滞在中のあらゆるサービスを利用できる。
AIスピーカーの投入もさまざまな問題を生んだ。家庭用とは異なり、ホテルには多様なセグメントの宿泊客が次々と来るため、各人のニーズや嗜好を学習する時間がなく、これを即時に判断して提供するのはかなり難度が高い。
現段階で、2店舗目を開業する計画はない。あらゆるホテルに転用できる運営モデルの構築には、まだ時間がかかりそうだ。しかし、サービスの無人化が進めば、人件費削減効果は従来型ホテルの1.5倍となり、フロントや会計、セキュリティ関連の人材に至ってはほぼゼロで運営できるようになるという。
旅行サイト「飛猪(Fliggy)」をはじめ、オンライン決済サービス「アリペイ」、動画共有サイト「優酷(YOUKU)」、フードデリバリーサービス「餓了麼(Ele.me)」など、同社のエコシステムに属するあらゆる事業が、今後このホテル事業に絡んでくるだろう。
(翻訳・愛玉)
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