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テンセント(騰訊)で未成年者保護システムの責任者を務める鄭磊氏は12月15日、今年実施されてきた未成年者保護に関する取り組みの成果を発表した。
11月時点で、ログイン時に顔認証を利用しているアカウントは1日平均686万件。そのうち70%以上が認証を拒否されるか失敗し、依存症対策監視システムに組み込まれている。決済プロセスでは、1万1000件のアカウントが顔認証を利用し、そのうち72%がチャージを許可されなかった。テンセントのゲームは9月、中国国内での総プレイ時間に占める未成年者のプレイ時間が0.7%にまで減少した。
今年8月末、中国国家新聞出版署は「未成年者のオンラインゲーム依存を適切に防止するための一層の管理強化に関する通知」を発表し、オンラインゲーム企業に、金・土・日曜日および法定休日の午後8時から9時以外は、いかなる形式でも未成年者にオンラインゲームのサービスを提供してはならないと要求した。さらに、ゲーム利用者のアカウントは実名で登録・ログインすることを徹底させ、実名以外で登録・ログインしているアカウントには形式を問わずゲームのサービスを提供してはならないとした。
鄭磊氏によると、テンセントは未成年者のオンラインゲーム依存症を予防するための「3つの防御」と、インターネット関連の違法もしくはグレーゾーンの産業を重点的に取り締まるための「1つの攻撃」に技術面から取り組んだ。「3つの防御」は、(1)公安のデータプラットフォームを依拠とした厳格な未成年者のアカウント管理、(2)未成年者が成人に「なりすまして」規制を回避する問題に対処するための、金融機関レベルの顔認識・認証システム採用、(3)ペアレンタルコントロール(保護者が子供の端末利用状況を追跡・制限できるツール)ツールの提供を表す。「1つの攻撃」はインターネット関連の違法あるいはグレーゾーンの産業に対する厳しい取り締まり、および未成年者のネット上の権利保護を表す。
未成年者が高齢者のアカウントを借りてゲームをプレイする問題が目立つようになり、「テンセントゲームズ(騰訊遊戯)」では高齢者の利用に対しても規制を強化した。鄭磊氏によると、テンセントでは、実名登録している60歳以上のプレーヤーが月に1000元(約1万8000円)以上をチャージした場合や、実名登録している55歳以上のユーザーが夜間にログインする場合などは、毎回必ず顔認証が求められるという。
テンセントの2021年第3四半期(7~9月)の財務報告書によると、中国市場ではテンセントのゲームの総プレイ時間に占める未成年者のプレイ時間は前年9月の6.4%から0.7%に、ゲーム売上高に占める未成年者からの売上高も同4.8%から1.1%へと大幅に減った。
未成年者保護の措置がテンセントゲームズの収益に影響を与えるのではという懸念について、鄭磊氏は「中国市場の売上高に占める未成年者からの売上高の割合は極めて小さい。未成年者に対する制限はテンセントにとって経済的損失とは言えない」と述べている。2021年第3四半期、テンセントゲームズの売上高は前年同期比8%増の449億元(約8100億円)。しかし、2020年第3四半期の売上高成長率は前年同期比45%増だった。
新たに改正された「未成年者保護法」が施行された今年6月1日以降、テンセントの株価は27.4%下落し、12月15日時点で1株当たり455.8香港ドル(約6685円)、時価総額は4兆3800億香港ドル(約64兆2400億円)となっている。
(翻訳:浅田雅美)
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