世界で急速に広がる「カーボンニュートラル」、ファーウェイ・アリババなど中国テック大手も参入急ぐ

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地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」は2015年12月12日、第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)に参加した195カ国の合意により採択され、翌16年4月22日に米ニューヨークの国際連合本部で開かれた署名式で175カ国が署名し、同年11月4日に発効した。

パリ協定は、温暖化ガス排出量の削減で気候変動に対応しながら持続可能な成長を目指す国際的枠組みとして、強いメッセージを発信している。現在は多くの国が国別貢献目標(NDC)を更新し、カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)が世界的なトレンドとなっている。

中国政府は2020年9月、30年に二酸化炭素(CO2)排出をピークアウトさせ、60年にカーボンニュートラルを実現する「ダブルカーボン目標」を発表した。21年はカーボンニュートラルが政府活動報告に正式に盛り込まれるなど、中国のカーボンニュートラル元年となった。

政府が打ち出した目標は、間違いなく経済社会システムに大きな変革を引き起こし、産業の発展を温暖化ガス排出量削減の方向に切り替えていく。カーボンニュートラル政策に対応するテクノロジー企業の取り組みも進んでいる。

テクノロジー企業の取り組み

情報通信技術(ICT)産業のCO2排出量は現在、世界全体の2.3%に過ぎないが、ICTはカーボンニュートラルを実現するための有効な手段の一つともなっている。

政府系シンクタンクの中国信息通信研究院は「デジタルカーボンニュートラル白書」を発表し、その中でICT産業はCO2排出量削減への取り組みを段階的に強化していると指摘した。その上で、デジタル技術による排出量削減には大きな可能性があり、デジタル化は中国がカーボンニュートラルを実現するための重要なプロセスだとの見方を示した。

ダブルカーボン目標を実現するプロセスとして、インターネット企業はICTを利用し、CO2排出量の多いデータセンターの電力消費量とCO2排出量の削減に取り組み始めている。

通信機器大手のファーウェイ(華為技術)は、カーボンニュートラルの実現に向け、データセンターのCO2排出量削減と技術力の強化に注力している。同社のデータセンターインフラ管理(DCIM)システムは、データセンターの運営コストを低減すると同時にリソースの利用率を向上させ、電力消費量とCO2排出量の削減を後押しする。同社は2021年5月11日、広東省で開催したシンポジウムで、前述のDCIMに加えてカーボンニュートラルの実現を目指す発電やモビリティ、工業団地などの仕組みを発表した。

インターネット大手のテンセント(騰訊控股)は、データセンターの消費電力削減と都市交通のスマート化を進め、カーボンニュートラル実現に貢献しようとしている。同社は2021年1月、カーボンニュートラル計画を発表した。具体的には、独自開発したデータセンター技術「T-Block」を活用し、天津データセンターのCO2排出量を5万2400トン削減するという。交通分野に関しても、地下鉄などの運賃を電子決済できるミニプグラム「騰訊乗車碼」をはじめ、さまざまなソリューションを打ち出している。

ネット通販最大手のアリババ集団は、2021年12月17日に発表した「アリババ・カーボンニュートラル行動報告」で三つの目標を提示した。一つ目は、30年までに同社のカーボンニュートラルを実現すること。二つ目は、同じく30年までにクラウドコンピューティングのカーボンニュートラル化をリードし、サプライチェーンのカーボンニュートラルを実現すること。三つ目は、35年までに同社のエコシステム全体でCO2排出量を15億トン削減することだ。

同社傘下の金融会社、アントグループ(螞蟻集団)が進める植林プロジェクト「アントフォレスト」もダブルカーボン目標の達成に貢献している。アントフォレストの活動には2020年5月までに5億5000万人以上が参加し、2億2300万本の木を植えた。植林面積は306万ムー(約20万ヘクタール)を超え、累計1200万トンのCO2排出量削減に貢献している。アントグループも、2030年までにカーボンニュートラルを達成するとの目標を発表している。

このほか、インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)やパソコン世界最大手の聯想(Lenovo)、配車アプリ最大手の滴滴(DiDi)などもCO2排出量削減に積極的に取り組んでいる。

(翻訳・田村広子)

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