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カーボンニュートラルのためのデジタル化ソリューションプロバイダー「碳衡科技(CarbonNewture)」が、エンジェルラウンドで数千万元(数億円)を調達した。「元禾原点(ORIZA SEED)」がリード・インベスターを務めた。同社は昨年8 月にシードラウンドでフードデリバリーサービス「餓了麼(ウーラマ、Ele.me)」の共同創業者である汪淵氏から資金を調達している。
碳衡科技は2021 年8 月設立で、黄彦翔CEOは世界有数の化学メーカーダウ・デュポンに約10年勤務し、中国地区の新事業を担当して管理職研修、販売、市場、製品関係の業務を経験した。過去にはフォーブス・チャイナが発表する30歳以下のエリート30人や中国の経済誌「胡潤百富(Hurun Report)」の30歳以下の創業者ランキングに選出されている。
中国政府が「双炭目標」(二酸化炭素<CO2>排出量のピークアウトとカーボンニュートラル)と全国統一の炭素排出権取引市場の開設を発表して以降、関連市場が急拡大している。会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツや中国証券大手「光大証券(Everbright Securities)」のデータ統計によると、カーボンニュートラル市場は116兆元(約2090兆円)規模になる。すべての企業が脱炭素への転換を迫られ、中でもCO2排出量の計算、モニタリング、削減などにはデジタル化がとりわけ重要になる。
碳衡科技はソフトウェアツールやSaaSなどの形でサービスを提供する。ビッグデータ、AI、ブロックチェーンなどの最先端技術を取り入れた低炭素化のためのスマート管理・分析プラットフォームを提供して顧客企業がCO2排出状況を数値化するのを支援し、同時に分析を行ったうえで企業にCO2排出削減のための一連のソリューションを提供する。
また、この業界はまだ新しいために計算基準、排出削減の規格が統一されていない。そこで、碳衡科技はデータの正確性の確保のために第三者調査機関と協力して企業の排出削減データ、情報の信頼性を確保しているほか、ブロックチェーン技術を取り入れて企業のCO2排出削減データの安全性確保とデータ改ざん防止を図っている。
碳衡科技は設立からまだ日が浅いが、すでに化学工業業界、製造業、工業団地、建築、銀行や保険などの金融業界に顧客を抱える。
黄CEOによると、企業や業界によって異なる需要に対応することが同社が現在直面している課題で、企業によって排出削減の緊急性や計算過程が異なり、さらに顧客の炭素管理に対する期待も明確ではないため、現在はどの業界にも標準的なプロダクトを提供しているという。
碳衡科技の売り上げは炭素管理のためのソフトウェアやSaaSなどデジタルサービス料金が中心で、今後は企業全体のグリーン化に必要なソフトウェアやハードウェアの改造を一体的に行うソリューションも収益源としていく。
黄CEOは「今後10年以内に、必ず中国から企業のCO2デジタル管理の世界的なユニコーンが誕生する」と話す。
チームは黄CEOのほか、前ウーラマ研究開発責任者の李磊氏が共同創業者でCTO(最高技術責任者)を務め、独総合化学メーカーBASFの役員を務めた張澳鵬氏がパートナー兼ソリューション部門責任者だ。従業員は30人前後で、うち90%以上がプロダクトの研究開発に携わる。
(翻訳:36Kr Japan編集部)
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