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オリジナルフレーバーのティースタンドがウケている中国で絶大な人気を誇る「喜茶(HEYTEA)」が会員システムの変更に踏み切った。
複雑な会員システム
喜茶が会員制度を導入したのは2017年のこと。会費は59元(約960円)、99元(約1600円)、179元(約2900円)の3段階。当時はタオバオ(淘宝)などのECで10倍以上のプレミア価格をつけて会員証が転売されるほどの人気になった。ところが、翌年6月、喜茶は「獲得した会員ポイントは1年後に無効になる」という新ルールを設定。これが大きな非難を浴びた。
そうした中、喜茶は2019年元旦に新たな会員制度を発表した。2月28日までの期間に9.9元(約160円)以上消費した顧客には、15日間有効の「スター会員カード(体験版)」が配布され、10%オフなどのクーポン券が3枚配られるという。同キャンペーンは開始10日間で16万人が入会。購入リピート率も20%上昇した。
さらに、スター会員はデリバリー手数料も無料となる。何時間も行列に並ばないとならないことで有名な喜茶だが、これによってデリバリーを利用する顧客が急増。各店舗で平均151分の待ち時間を削減し、行列緩和につなげた。現在では全受注の35%がミニプログラム経由となっているという。
会員システムは顧客定着につながるのか?
ドリンクスタンドは参入が容易なこともあり、喜茶に続くブランドが乱立する事態となった。新鮮なアイディアやコンセプトが光るブランドも中にはあるが、多くの類似ブランドが出現したのも事実だ。新しもの好きの若い顧客を引き留めるためには、間断なく新商品を提案して存在感を示さなければならない。さもなくば、どのブランドも短命に終わるだろう。
顧客定着を図るため、ブランドは会員システムの充実を図るわけだが、単なるポイント制では、ユーザーに何の新鮮味も与えられない。
そこで、喜茶では、蓄積したポイントでクーポン利用ができるだけでなく、スマホケースや傘など11種類のオリジナル商品と交換できる制度を導入した。グッズが普及すれば、宣伝効果も見込める。
会員制度の内容に複数回の調整を加えた喜茶だが、スターバックスと比較すると、会員が何らかの優待を受けられるまでのハードルは高いと言わざるを得ない。スターバックスの場合、ドリンクの平均価格が1杯35元(約570円)とすると、最低36杯を購入すれば何らかの特典が得られるのだ。
また、会員制度の内容やルールが複雑すぎるのも考えものだ。よほど研究熱心な顧客でない限り、ルールを詳細に把握してまで優待を受けようとは思わないだろう。公式発表では、喜茶のミニプログラムユーザーは600万人。うち、スター会員に正式入会したのは10万人だという。会員システムをいかに定着させるかは喜茶だけの課題ではない。多くの消費財を扱うスタートアップにとっての共通のハードルだ。
(翻訳・愛玉)
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