TikTokのバイトダンス、音楽配信アプリを試験運用 巨大市場の”第三勢力”を目指す

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TikTokのバイトダンス、音楽配信アプリを試験運用 巨大市場の”第三勢力”を目指す

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ショート動画アプリ「抖音(Douyin、海外版はTikTok)」を運営するバイトダンス(字節跳動)はこのほど、同社初の音楽配信アプリ「汽水音楽」の試験運用を中国国内のごく狭い範囲で実施した。汽水音楽にはすでに、数多くの楽曲が収録されているが、ほとんどがマイナーな楽曲だ。会員限定の楽曲もある。トップを走る音楽配信プラットフォームと正面からぶつかることのないよう、ニッチなユーザーを対象としたようだ。

プレーヤーのインターフェースは抖音と同様のレイアウトとなっており、ユーザーは画面を上下にスワイプして楽曲を選ぶことができる。ダウンロードしてシェアしたり、コメントしたりすることも可能だ。おすすめページもあり、ユーザーは日々おすすめの楽曲を確認することができる。マイページにはユーザーの基本情報、コレクション、プレイリストなどが記録される。

調査機関「中商産業研究院」によると、中国の音楽配信市場の規模は、2017年の42億元(約760億円)から20年の128億元(約2300億円)に拡大しており、22年には242億元(約4400億円)になると予想されている。この魅力的な市場をバイトダンスが見逃すはずはない。

新たなドル箱となるか

抖音はバイトダンスの巨大なドル箱だ。しかし、中国のショート動画のユーザー数はすでに頭打ちとなっている。

調査会社「艾媒諮詢(iiMedia Research)」の最新データによると、2017年から21年にかけてショート動画のユーザー数は増加傾向にあったものの、18年以降は伸び率の縮小が続いている。バイトダンスはショート動画アプリ以外の収入源を探さなくてはならなくなった。

バイトダンスは現在、電子商取引(EC)や生活関連サービスなどさまざまな事業を模索しているが、ショート動画アプリには遠く及ばない。抖音のショート動画には、使用された楽曲を大ヒットさせ、「神曲」とする特別な力がある。その独特なあり方を生かした音楽配信プラットフォームを立ち上げれば、既存のプラットフォームと互角に戦えるはずだ。

バイトダンスは2021年、音楽事業を手掛ける統括部門を新たに設けた。続いて音楽事業専門のミドルオフィス「Bytemusic」を設立。オーディオブックアプリ「番茄暢听(Fanqie Changting)」と、音楽配信代行プラットフォーム「銀河方舟(Star Nation)」に加え、新たに楽曲制作プラットフォーム「炙熱星河(Zhirexinghe)」と汽水音楽を立ち上げた。バイトダンスは、音楽配信産業全般を網羅する総合的なビジネスモデルを作り上げた。

バイトダンスの音楽事業には、現実的な課題も残されている。テンセント(騰訊控股)傘下の「テンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループ(TME)」やネットイース(網易)傘下の「ネットイース・クラウド・ミュージック(網易雲音楽)」に比べ、バイトダンスが持つ楽曲配信権は少ない。汽水音楽をニッチなユーザー向けとした理由の一つだ。ジェイ・チョウ(周傑倫)のような人気歌手の楽曲配信権を獲得できれば、競争力はより大きくなるはずだ。

汽水音楽は有料会員制度を採用しているが、有料会員を獲得する方法も課題となる。無課金ユーザーを有料会員にするノウハウは、TMEや網易雲音楽に一日の長がある。

いずれにせよ今回、汽水音楽が加わってバイトダンスの音楽事業が拡充され、ユーザーの選択肢が増えたのは事実だ。バイトダンスは中国音楽配信市場の第三極として力を伸ばせるのか。今後の動向から目が離せない。

(36Kr Japan編集部)

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