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二酸化炭素(CO2)排出削減管理に取り組む「聯元智能科技(Enesource)」がシリーズBで、セコイア・キャピタル・チャイナから5000万元(約9億3000万円)を調達した。
聯元智能科技は2017年3月に上海で設立され、AIやIoT技術を基盤としたエネルギー効率化のためのプロダクトとソリューションを提供する。CO2排出削減の計画・観察・測定・制御を一体化させたリアルタイムあるいは準リアルタイムのカーボンマネジメントをサービスとして提供する。創業メンバーはアクセンチュア、国営電力配送会社の国家電網(ステートグリッド)、世界企業番付フォーチュン・グローバル500にランクインするエネルギー企業などの出身だ。
中国の産業が質の高い成長(高質量発展)を進める段階に入り、「新型インフラ(新基建)」などの政策が打ち出されると、産業用インターネット分野で起業ブームが起き、産業のデジタル化、スマート化が進んでいる。2020年9月には政府が「双碳」政策を掲げ、 2030年までにカーボンピークアウト(CO2排出量のピーク超え)、2060 年までにカーボンニュートラル(CO2排出量実質ゼロ)を目指すとしたことで、産業の転換にさらなる拍車がかかった。
聯元智能科技の成長過程は「新型インフラ」と「カーボンニュートラル」、二つの国家戦略と密接に関係している。創業者の黄偉氏によると、同社は設立翌年の2018年に産業のエネルギー効率管理システムをSaaSで提供開始。下層の設備から上層の活用シーンでのエネルギー関連データをつなぎ、顧客企業がデータの可視化・計測・エネルギー消費の制御ができるようサポートしている。
同社は設立初期に市場に参入して以降、多くのエネルギー関連機関、政府、企業と緊密に連携する中で、政府からの需要が最も力強く、最も速く伸びていると実感した。政府はエネルギー改革推進の中心的存在であり、双碳政策が打ち出されてからはこのことがいっそう顕著になった。規制当局の監督管理と市場の削減目標達成のためにも、政府によるCO2政策、企業活動や製品生産に伴うCO2排出量のバランスを取ることが必須だ。より具体的な活用シーンを描いたプロダクトがあって初めて、真に価値あるサービスが提供できると同社は考えている。
聯元智能科技のプロダクトは、政府向け、送配電企業・エネルギー企業向け、一般企業向けと三つのカテゴリーに分かれている。双碳政策を受け、市場戦略としてはまず政府、送配電企業への導入から始めて一般企業へターゲットを広げ、政府・送配電企業・一般企業から成る顧客ネットワークを徐々に形成している。
カーボンニュートラル達成に向かう過程で、中国政府は全体的な方針を掲げて各地方の排出目標達成を促し、エネルギー供給システムの整備を先行させ、その後企業が段階的にシステムを活用していくよう主導している。しかし、エネルギー源、産業構造、財政支援能力は地方ごとに異なる。そこで聯元智能科技は各自治体や企業の需要をどのように掴むかを考えた。
まず、各自治体はCO2排出状況をリアルタイムで正確に可視化するデジタルマップを用いて、政策による誘導や監督・指導を行う必要がある。聯元智能科技は事前コンサルティング、またAIやIoTを用いたCO2排出状況算出によって、双碳政策を実行するデジタルインフラ構築を支援し、CO2排出状況のリアルタイムでの管理を実現した。政府の双碳関連業務は日常の経済活動と密接に関わっているため、聯元智能科技は産業別や地域別のプロダクトをリリースし、顧客が地域や自社の経済状況およびエネルギー関連の状況を全面的に把握し、各地方で脱炭素化を推進しやすいよう支援する。
こうした取り組みにより、聯元智能科技はシステムの活用シーンを細分化しながら、顧客間で共通する需要を抽出し続けることができる。この考え方に基づいて、都市向け公共サービスプラットフォーム(政府向け)、カーボンマネジメント用プラットフォーム(企業向け)など複数のコアプロダクトもリリースした。プラットフォーム運営用プロダクトもリリースしており、241業種のエネルギー消費の画像データや電力消費量からCO2排出量を計測するモデルに加え、エネルギー貯蔵、太陽光発電、スマートHVAC(暖房・換気・空調設備)など多様なグリーンエネルギーのAIアルゴリズムやAIモデルを蓄積している。
聯元智能科技の従業員は約50人で、事業は急成長期に入っている。すでに多くの地方自治体や企業にサービスを提供しており、同社の事業は昨年、約3倍に成長した。今年は長江デルタ地域で6600社以上の企業にカーボンマネジメント用プロダクトを導入してもらう計画だ。
(翻訳・山下にか)
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