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プロジェクターブランド「堅果(JMGO)」を展開する「火楽科技(Holatek)」がプレIPOラウンドで10億元(約190億円)を調達した。中国スマートフォン大手のOPPO、既存株主のIDGキャピタル、「楽訊天成」が出資した。
創業者で董事長の胡振宇氏は「出資者のOPPOとは事業を共に発展させていきたい」と述べた。OPPOはIoT事業の拡充を進めている。スマホをベースにしたスマートホームのエコシステムを拡大しており、火楽科技との共同事業を展開する可能性がある。OPPOのサプライチェーンと販売チャネルは、火楽科技にも有利に働くだろう。
火楽科技は2011年に深圳市で設立された。JMGOブランドからは家庭用スマートプロジェクターのエントリー機「G」シリーズ、ポータブル機「P」シリーズ、パフォーマンスモデル「J」シリーズ、レーザーテレビ「U」シリーズ、超短焦点レンズ搭載機「O」シリーズなどを発売。20年には自社開発のオペレーティングシステム「LUNA OS」を発表し、「端末、コンテンツ、プラットフォーム、ソフトウエア」を一体とする家庭用スマートプロジェクターのエコシステムを構築した。
注目すべきは、同社がプロジェクターの技術開発への投資を拡大していることだ。胡氏は「プロジェクターは音・光・電気が大切なのだが、当社には光学機器やアルゴリズム、放熱などの技術的蓄積がある。ナノ薄膜や陽極酸化を利用したデザイン性向上も検討している」とした上で、「インタラクション機能については遠距離音声認識、ジェスチャー認識、生体認証といったAI技術を導入し、ユーザー体験の向上を図っている」と説明した。同社は昨年以降、特許出願件数を大幅に増やしているという。
家庭用プロジェクターが普及、オンライン販売に加え実店舗の開設も加速
中国のスマートプロジェクター市場はここ数年で急速に成長している。調査会社「洛図科技(Runto Technology)」のまとめによると、昨年のスマートプロジェクター販売台数(レーザーテレビを除く)は前年比29%増の480万3000台、売上高は32.2%増の116億1000万元(約2200億円)だった。
コロナ禍とリモートワーク導入によって在宅時間が増え、ライブ配信やショート動画などの新しいチャネルも発展したことで、家庭用スマートプロジェクター市場は急速に成長している。IT専門調査会社IDCは中国のプロジェクター出荷台数について、2025年までの5年間の年平均成長率(CAGR)が16%を超えると予測した。
JMGOは公式サイトに加え、電子商取引(EC)大手の天猫(Tmall)と京東(JD.com)を中心に製品を販売している。昨年のECイベント「双11(ダブルイレブン)」では、天猫での売上高が前年同期比220%増となり、同プラットフォームのプロジェクター部門で前年に引き続き売上高トップに輝いた。このほか、EC大手の拼多多(Pinduoduo)やソーシャルECの小紅書(RED)、TikTokの中国版「抖音(Douyin)」などの新しいチャネルも開拓している。
また、実店舗の開設も急ピッチで進めており、この1年間で直営店6店と体験型店舗16店を開設したほか、コストコやサムズ・クラブなどスーパーマーケットとの提携も開始。今年3月にはJMGOとして初の旗艦店を上海市内にオープンした。今年は都市部の繁華街に体験型店舗100店の開設を計画しているという。
火楽科技は、スマートプロジェクター事業、法人向け事業および付加価値サービス事業を主な収益源としている。消費者向けにはスマートミニプロジェクター、レーザーテレビ、アクセサリーを中心に提供。法人向け事業では顧客に応じてカスタマイズした製品とサービスを展開し、レーザーテレビの販売にも力を入れている。また、オンラインプラットフォームとは、エンターテインメントリソースを活用した収益モデルの構築に取り組んでいる。同社が提供するコンテンツは、映画とテレビを中心としていたが、現在はフィットネスやヨガ、教育、音楽、カラオケ、クラウドゲームなどへと少しずつ幅を広げている。それに伴い、ワイヤレスマイク、ゲームパッド、3Dメガネといったアクセサリーも取り扱うようになった。
JMGOユーザーの製品使用時間は、1日当たり5~6時間に上るという。
(翻訳・大谷晶洋)
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