36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
全固体電池を研究開発する「高能時代(GTC-Power)」はこのほど、5000万元(約10億円)以上を調達した。今回の資金調達は「同創偉業(Cowin Capital)」がリード・インベスター、「中金伝誉鳳凰基金」、「欣旺達電子(SUNWODA)」、「珠海高新創業投資(Zhuhai High-techVentureCapital)」などがコ・インベスターとして参加した。調達資金は主に全固体電池の製品ラインアップの拡充、技術研究開発および人材獲得などに充てられる。
GTC-Powerは2020年に設立され、本社は中国珠海にある。
羅明董事長によると、現在同社の従業員は50人近くおり、中国と日本の横浜に電池研究開発センターを開設している。横浜チームは中国、日本、韓国出身の専門家10数名で構成され、電池セルの設計と開発プロセスを担当し、中国チームは主に原材料の合成、産業チェーンおよび顧客の開拓などを担当する。
目下、全固体電池の主要技術は、電解質の種類に応じてポリマー系、硫化物系、酸化物系の3つに分けられる。日本の自動車会社、特にトヨタは硫化物系全固体電池を提唱しており、同社はイオン伝導度の高い硫化物系の固体電解質を採用する方針。トヨタの全固体電池は2020年の前半段階で一定の成果を挙げており、早期の実用化を目指す見通しだ。
GTC-Powerのコアメンバーは日本の自動車会社出身であるため、同様に硫化物系技術の採用を目指しており、全固体電池製品の実用化に向け材料と供給面でそれぞれ3つの革新的な取り組みを打ち出した。
材料上のソリューションとして、1)元素ドーピングやハイブリダイゼーションシステムなどを通じた硫化物系固体電解質の実用化技術確立、2)低コストの硫化リチウム(Li2S)合成技術、3)特殊性能の接着剤材料の開発を掲げる。
製造加工技術面では、1)固体同士の固固界面制御技術、2)全固体電池の新製造技術、3)新たな負極材料技術(カーボンナノコンポジットコーティング)の開発を挙げる。
駆動用バッテリーは、電気自動車(EV)の航続性能、エネルギー補給効率、安全性および耐用年数を直接決定する新エネルギー自動車(NEV)産業の重要部品の1つだが、現在の液体リチウム電池はこれらの問題に対処する上で制約が存在する。液体三元系リチウム電池のエネルギー密度は300Wh/KGが上限近くとされる上、熱安定性の面でも懸念が残る。
全固体電池は固体電解質を使用することにより、熱暴走など安全上の問題を解決できる。同時に、エネルギー密度は400Wh/KG、500Wh/KG、またはそれ以上になる可能性があり、EVの航続性能を効果的に改善できる。
そのため、中国では全固体電池の開発競争が過熱化し「輝能科技(プロロジウムテクノロジー)」、「清陶能源(Qing Tao Energy Development)」、「衛藍新能源科技(Welion New Energy Technology)」などのスタートアップだけでなく、車載電池最大手の寧徳時代(CATL)や「ガンフォンリチウム(Ganfeng Lithium、贛鋒鋰業)」、EV大手の比亜迪(BYD)などの業界リーダーも関連技術の研究を推進している。
羅明董事長によると、同社は製品の実用化を迅速に進めるため経営資源を製品技術の研究開発に集中し、製造はOEM(相手先ブランドによる生産)とするアセットライト方式を採用する方針だ。
GTC-Powerの製品計画では、今年はドローンおよび3Cデジタル機器(パソコン、通信機器、家電製品)用の全固体電池向けに容量5Ahおよび20Ahセルを投入し、2023年には60Ah大型セルを発表し小規模量産を開始、2024年には100Ahの量産型の駆動用全固体大型バッテリーを発売する予定だ。
事業の立ち上げ時期は比較的遅かったものの、羅明董事長は、柔軟な組織構造と効率性の高さを武器に、全固体電池製品の実用化を加速させる方針を示している。(翻訳・大沢みゆき)
36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録