米国で注目を集めるアジア商品専門EC「YAMI(亜米)」、シリーズBで5000万ドルを調達

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北米最大のアジア商品ECプラットフォーム「亜米(YAMI)」がシリーズBで5000万ドル(約62億円)を調達した。リードインベスターは米「Altos Ventures」と同「Balsam Bay Partners」、コ・インベスターはJPモルガンと「紀源資本(GGV Capital)」。

亜米は2013年3月設立、米国カリフォルニア州に本社を置く、北米最大のアジア商品ECプラットフォームだ。軽食や飲料品のほか、インスタント食品、調味料、化粧品、ヘルスケア用品、医薬品、キッチン家電、日用品などを幅広く扱い、SKU(最小在庫管理単位)は26万を超える。

開業当初、亜米は在米の留学生やアジア人、中でも中国系住民(華人)をターゲットにしていた。創業者の周游氏はカンザス州での留学経験があり、アジアの商品を手に入れる苦労を肌で感じていた。故郷の食べ物を簡単に買えるようにしたいとの思いから、2013年に同社を設立した。

米国社会でアジア人は徐々に増加している。米商務省センサス局の2021年の分析では、2000年以降在米アジア人は81%増加、60年には3倍になると予測されている。現在、亜米のユーザーは200万を超え、在米アジア人市場で安定した評価を得ている。米国では華人の10人に1人が亜米のユーザーだという。

亜米はアジアの軽食類の取り扱いからスタートした。軽食や飲料、インスタント食品、調味料、健康食品、生鮮食料品など食品カテゴリの商品が最も多く、売上高も全体の約5割になる。

豊富な食品のラインアップに加え、自社倉庫に商品を集めて発送するというスタイルを基本に良質なサービスを提供し、多くの熱心なファンを獲得した。ユーザーが増えると、要望に応じてスキンケア用品や化粧品、電気製品、マタニティ・ベビー用品、書籍などあらゆる商品を扱うようになった。

亜米の中継倉庫

亜米が在米アジア人に支持される最大の理由は、アジアの商品に注力しているからだ。中国の無糖飲料メーカー「元気森林」や小型家電メーカー「北鼎(Buydeem)」、家庭用豆乳機メーカー「九陽(Joyoung)」、化粧品では資生堂や韓国「Dr.Jart+」、食品では韓国の「CJ Foods」や「三養(サムヤン)」、カルビーなど、古くからの有名ブランドから新しい流行商品まで4000以上のブランドを扱う。元気森林とコーヒーブランド「三頓半(Saturnbird coffee)」の中国国外における最大のパートナーとして、年間売上高は数百万ドル(数億円)を超える。

最近は東北地域の冷麺、雲南省の「玫瑰餅(バラ餡の月餅)」、四川省の「冒菜(一人用火鍋)」など中国各地方を代表する商品にも力を入れている。これまでメジャーな商品ばかりが注目され、地方色の濃い商品が少なかったことから、亜米では地方商品の取り扱いを特徴として打ち出した。また、中国に偏っていた品揃えを、徐々に日本、韓国、東南アジアなどの商品にも広げている。今年初めには日本に事務所を開設した。

顧客の中心は在米アジア人だが、過去半年の新規ユーザーのうち半数は非アジア系だ。アジアの商品は非アジア系住民にも歓迎されていることから、アジアの有望なブランドを積極的に増やす方針だ。

米国のフードデリバリーレビューサイト「Yelp」によると、2020年のコロナ禍ではタピオカミルクティーがカリフォルニア州とミシガン州で最も人気の品目となった。ほかの州でも寿司やタイ風焼きそば「パッタイ」などアジアン・フードがデリバリー市場を席捲した。

アジアン・フードが広がる背景には多くの要素があると周游氏はみている。ひとつは、アジアで流行した文化が米国に伝わると、関連する商品のマーケットも合わせて拡大すること。次に、アジアの食文化が広く受け入れられるようになると、米国の一般家庭でも中華料理、和食、韓国料理、タイ料理が食卓に上るようになり、それとともに軽食や食材の需要が増えたこと。そして、アジア市場自体も新興ブランドをグローバルに売り出す姿勢を強め、新興ブランド自体にも勢いがあることだ。

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コロナ禍の2020年3月、ユーザーの要望に応え、亜米は生鮮食品の取り扱いを始めた。地元の生鮮食品スーパーに出店してもらい、オンライン販売をサポートするという形だ。現在、複数の大都市でサービスが提供されているが、生鮮食品は亜米にとっては補助的な位置づけで、今後はやはりアジア色の濃い商品にフォーカスしていきたいとしている。

亜米はUPS、合衆国郵便公社(USPS)、FedExなどと協力して全国配送サービスを提供しているが、地元の配送業者と協力して当日配送、翌日配送にも対応できるようになるという。また、米国東部地域に倉庫を建設し、配送時間のさらなる短縮を目指す計画だ。

(翻訳・36kr編集部)

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